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2017年07月21日18時00分

【特集】「新成長期待分野の将来展望は?」シンフォニアテクノロジー、佐伯英一郎部長に聞く!<直撃Q&A>

成長期待の半導体ウエハー搬送装置
―医療関連装置で10年後に売上高100億円目指す―

 シンフォニアテクノロジー<6507>は、航空機用電子機器、半導体ウエハー搬送装置、振動機器、モーションコントロール機器など幅広い分野で高い技術力を有する電機メーカーだ。さらに、既存分野の成長に加え、医療関連装置や農水産業分野など新たな事業に進出している。これらの成長期待分野について、同社経営企画部の佐伯英一郎担当部長に将来展望を聞いた。

Q1 主要製品別の概要をお教えください

佐伯 会社のセグメントとしては、「モーション機器」、「パワーエレクトロニクス機器」、「サポート&エンジニアリング」の3部門に分かれています。モーション機器というのは、航空宇宙、モーションコントロール機器、カラープリンターなどの事業になります。パワーエレクトロニクスには、旧重電と、振動機といって電磁石を利用して振動を発生させてものを搬送する振動コンベアや、半導体関連のクリーン搬送機器などが入ります。サポート&エンジニアリングは、電気工事・エンジニアリング、ソフト開発、病院内高速搬送システムを手掛けるグループ企業が担っています。

Q2 モーション機器の具体的な内容と今後の見通しをお願いします

佐伯 モーション機器のなかで事業規模が大きいのが航空宇宙関連電装品で、対潜哨戒機など防衛省向けの航空機用発電システムやJAXA向けH-2型などロケットの姿勢制御用アクチュエーターなどです。また、FA・OA機器向けのクラッチ・ブレーキ、鉄道や建設機械向けの車両制御機器などのモーションコントロール機器、空港用地上支援車両などの大型搬送システム、アミューズメント向けの業務用写真出力プリンターシステムなどがあります。モーションコントロール機器は「中核4事業」の一つで、18年3月期の売上高は183億円(前期比18.8%増)と高い伸びを見込んでいます。

Q3 既存の分野で、特に今後成長が期待できる事業の将来展望は?

佐伯 現在一番の成長分野は、半導体関連のクリーン搬送装置です。半導体メモリーが不足しているなかで、過去のシリコンサイクルとは関わりなく需要の拡大基調が予想されており、世界的な大手半導体メーカーのほとんどに対して納入実績があり、シェアも拡大しているうえに需要増加も続いています。クリーン搬送装置は成長が見込める「中核4事業」の一つで、18年3月期に売上高135億円(前期比8%増)を見込んでいます。

 航空宇宙事業も「中核4事業」の一つで、国内唯一の航空用発電、配電および電力変換器の総合メーカーとして、対潜哨戒機の新機種向けやH2ロケット向けなどにより、18年3月期のこの部門の売上高は153億円(前期比14.2%増)を見込んでいます。さらに、振動機器事業も「中核4事業」の一つです。もともと鉄鉱石や石炭などをベルトコンベアで運んでいたものを、振動を利用して搬送することで、より均一に搬送でき、搬送工程に熱風を吹きかけて乾燥できるなどメリットがあることから採用されはじめ、現在では食品、化学材料などへ用途の広がりをみせています。振動機器事業の18年3月期の売上高は100億円(前期比31.6%増)と高い伸びを見込んでいます。

Q4 中期経営計画は順調に推移しているようですが

佐伯 2013年にスタートした中期経営計画は、今期の18年3月期が最終年度となっています。スタート時点で目標として掲げた、最終年度の売上高1000億円に対して今期の連結売上高予想は950億円(前期比12.8%増)と若干下回るものの、経常利益は当初想定した70億円(同28.6%増)を達成できる見通しとなっています。これは、中期計画の期間中に、成長の牽引役として期待される「中核4事業」が総じて順調な推移をみせているためです。来期以降の次期の中期経営計画は現在策定中です。

Q5 新たな成長期待分野について具体的にお教えください

佐伯 新たな成長期待分野としては、既に「医療関連装置」、「農水産関連」の二つの分野が本格的にスタートしています。農水関連では、イチゴの完全人工光により栽培を行う植物工場システムを実用化しています。現状イチゴの国内栽培は通常11月から翌年6月までで、それ以外のオフシーズンには、米国からの輸入により非常に割高な商品に頼っているのが現状です。この夏から秋のシーズンに国内産での栽培が可能になれば、付加価値の高い商品として大きな需要が見込めます。従来から葉物野菜の植物工場は実用化されておりますが、果実のなるものは複雑な手入れが必要なこともあり困難とされてきました。基本的には温度や光や養液などの環境を制御する装置の精度を高めるということです。特に難しいのは病気の克服(高度な無菌状態に保つ)です。さらに、受粉、収穫の手間など、熟練度の高いイチゴ農家の技術習得も必要です。

 三重県にある当社開発部門で冷凍コンテナを使用したアワビの養殖システムの開発をスタートしています。アワビは高級食材で、非常にニーズも高いことから取り組み始めました。今秋からテスト販売をスタートする予定です。アワビの海面養殖は、中国や韓国で行われていますが、糞や餌で海水が汚染されることが問題となっています。当社の場合は、人工海水を使ってコンテナで養殖するため、海から離れた山間地も可能です。水質の問題(環境制御)、生育条件などの基本的な課題は既にクリアしつつあり、商用化に近づいています。また、アワビはこれまでに値崩れを起こしたことがないという点も魅力です。

Q6 iPS細胞の品質を維持する「自動光学式細胞除去装置」について

佐伯 当社と近畿大学医学部や三重大学医学部と共同で開発したもので、iPS細胞を培養して増やす際に発生する目的外の細胞を効率良く取り除く装置です。iPS細胞を大量に培養すると、一定の割合で変質した細胞ができてしまいます。その変質した細胞を、画像解析技術によって見つけ出して、そこに近赤外線レーザーを照射することで、自動かつ非接触に除去することを可能にしたものです。今後、再生医療を発展させるうえで、安定した品質の細胞を大量に培養することが最大の課題とされていただけに、この装置が大きく貢献することが見込まれます。

 3年前から研究開発を進め、今年の秋には発売する見通しです。当初は数十台単位の出荷となりそうですが、メーンの市場は再生医療の規模が大きく、展示会などでの関心も高かった米国になりそうです。半導体産業向けに培ったクリーン搬送技術を応用した細胞培養プロセスの自動化を実現するための「細胞培養容器自動搬送システム」の開発も手掛けており、10年後にはバイオ関連事業全体で100億円規模の新たな柱となる事業に育てる計画です。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(さえき・えいいちろう)
1987年同社入社。営業部門、販売企画部門を経て1998年に経営企画部に異動。経営計画合理化、M&A業務に携わり、2013年に開発部門の開発企画業務に従事。開発部門では、新規開発技術の事業化や技術教育の業務に携わり2016年より現職。

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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