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【特集】ゲリラ豪雨「7043」回予想の衝撃―防災と減災の前線から <株探トップ特集>

WNIウェザ <日足> 「株探」多機能チャートより

―2017年は前年に次ぐ多発予想、発生ピーク8月中旬に向け警戒感―

 7月上旬、大分や佐賀、福岡など九州北部が豪雨に見舞われた。7月19日時点で34人の死亡が確認され、7人の安否がわかっていないという甚大な被害を出した今回の「平成29年7月九州北部豪雨」だが、これからの台風シーズン本格化で、日本各地のどこでも同じような被害が発生する可能性がある。株式市場でも、被害が起こる度に関連銘柄に注目が集まるが、災害に備える意味でも関連銘柄には今から注目しておきたい。

●東京や愛知、大阪では200回以上の発生を予想

 ウェザーニューズ <4825> は7月12日、7~9月の「ゲリラ豪雨傾向」を発表した。それによると、今シーズンのゲリラ豪雨 は、全国で7043回発生すると見込んでおり、過去3年間の平均と比べると3割増えると予想。ゲリラ豪雨が多発した昨年の7498回と同程度になる傾向だという。

 特に、太平洋高気圧の縁に位置し、湿った空気が流れ込みやすい東北北部や近畿北部、山陰では、昨年より5~8割発生回数が増えるという。また、人口の多い東京都や愛知県、大阪府でも200回以上の発生が予想されている。さらに8月中旬がゲリラ豪雨のピークになる見通しだ。

●ゲリラ豪雨を事前に通知

 こうしたゲリラ豪雨の対策としてウェザーニューズでは、スマートフォンアプリ「ウェザーニュースタッチ」でゲリラ豪雨の最新情報を提供。特にアプリ内の専用コミュニティー「ゲリラ雷雨防衛隊」は、参加しているユーザーが雷雲に発達しそうな怪しい雲を報告し、その情報を共有してゲリラ豪雨の発生を事前に察知することで被害を減らすというツールだ。仮に防衛隊の報告から「ゲリラ雷雨の可能性あり」と解析された場合、その情報が事前に通知されるようになっている。

 また、パスコ <9232> では企業向けサービスの一環として、豪雨や台風などによる被害を6時間先まで予測し事前に知らせる災害リスク情報サービス「DR-Info」を展開しており、順次機能を拡充する方針だ。

●雨水貯留施設や貯留槽の設置が増加

 ゲリラ豪雨では、都市部を中心に排水しきれなくなった雨水が下水道や側溝から溢れる「内水氾濫」が多発し、問題となっているが、これを受けて、雨水貯留施設の設置が増加。日本ヒューム <5262> やゼニス羽田ホールディングス <5289> [東証2]といった下水道向けコンクリート製品を手掛ける企業のビジネスチャンス拡大が期待されている。

 天昇電気工業 <6776> [東証2]もその一つで、プラスチック製雨水貯留槽「プラダムくん」は、軽量で耐久性があり、高い施工性が特徴。全国の駐車場や公園、学校、ショッピングセンターなどの地下に既に1万数千件の施工実績がある。また、年間5000件を越える引き合いがあるという。

 このほか、メタウォーター <9551> では下水処理場の汚水処理を5倍速める浄化設備を開発した。ゲリラ豪雨では、下水道と雨水が一緒に下水処理場に送られることが多く、下水処理場では従来、雨水をいったん溜めてゆっくり処理する方法がとられていた。そのために広いスペースが必要となるうえ、自治体の費用負担も大きくなる。同社の新設備では、ゲリラ豪雨の雨水をいったん溜めておく施設は必要なくなることから、自治体からの関心が高い。

●断熱材メーカーにも注目

 また、ゲリラ豪雨関連銘柄としては、不動テトラ <1813> や日本基礎技術 <1914> 、ライト工業 <1926> 、前田工繊 <7821> など特殊土木関連各社の名前が挙がるが、日本アクア <1429> [東証M]、積水化学工業 <4204> 、ニチアス <5393> 、ジェイ エス ピー <7942> などの住宅用断熱材を手掛ける企業にも注目したい。万が一、豪雨により床上浸水した場合、衛生上の問題が生じるため、断熱材を入れ替える必要があるためだ。

 さらに、豪雨による浸水リスクなどをスコア化する地盤ネットホールディングス <6072> [東証M]、ハザードマップ作成の日本アジアグループ <3751> などにも注目したい。

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