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【市況】来週の株式相場見通し=上値重い展開続く、イエレンFRB議長の議会証言がカギ

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 来週(10~14日)の東京株式市場は、買い意欲の盛り上がりにくい展開で上値の重さが意識されそうだ。世界的な金利上昇局面に際して、業績相場への移行がままならない段階で、これまで過剰流動性を背景とした金融相場の色彩が徐々に薄れていくとの思惑が、世界の株式市場を不安定にしている。東京市場でも下値リスクにやや敏感となることが予想され、来週の日経平均株価の想定レンジは1万9600~2万100円とする。

 カギを握るのはやはり米国。つい最近までは米長期金利の上昇を米景気の強さの裏返しとして好意的に捉えていたマーケットだが、物価の下振れなど今一つ足もとがおぼつかない経済実勢を前に、それでもFRBが金利引き上げに前向きな姿勢を続けるのかどうか、ここにきてのハイテク株安とも相まって、投資家の視点はこの一点に集約されている。その意味で日本時間今晩9時半ごろに予定される米6月の雇用統計発表は少なからぬ重要性を持つ。当初コンセンサスよりも弱めの数字が出た場合に、それでもFRBの金融政策に対する姿勢が従来路線と変化なしであれば、米株市場には下方圧力が顕在化する可能性がある。

 したがって、来週の株式相場のカギを握るのは12日に予定されるイエレンFRB議長の米議会下院での議会証言だ。雇用統計の結果にもよるが、金融政策に対する考え方およびスタンスを見極めたいとの思惑、そして、債券再投資の停止(バランスシート縮小)のタイミングにも神経質になっている。バランスシート縮小の決定ついては9月のFOMCとの見方が本線だが、マーケットがどこまで織り込んでいるかは未知数だ。12日のイエレン発言に耳目が集まることは必至といえる。

 仮に、来週に米長期金利の上昇傾向がさらに強まった場合、NYダウは25日移動平均線を下に放れる可能性が高まるが、東京市場では日米金利差拡大を背景とした円安進行が日経平均の下値を支えることも考えられる。とはいえ、米国株変調を横目に、上値を買い進む展開にも無理があり、個別株のピンポイント物色の流れが継続しそうだ。

 日程面では5月の国際収支、5月の機械受注、6月の中国CPIとPPI(10日)、EU財務相理事会、5月の米卸売在庫、5月の米卸売在庫と卸売売上高(11日)、6月の企業物価指数、5月のユーロ圏鉱工業生産、イエレンFRB議長による米議会下院の金融委員会での議会証言(12日)、6月の都心オフィス空室率、6月の中国貿易収支、6月の米財政収支、イエレンFRB議長による米議会上院の銀行委員会での議会証言(13日)、5月のユーロ圏貿易収支、6月の米消費者物価指数、6月の米鉱工業生産(14日)などに注目。(中村潤一)

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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