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【特集】馬渕治好氏【再びの2万円割れ、警戒と希望それぞれのワケ】(1) <相場観特集>

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

―米ハイテク株下落の影響受けるもTOPIXは堅調、見える景況感改善の流れ―

 週明け12日の東京株式市場は売りに押される展開となり、日経平均株価は再び2万円を割り込んだ。6月相場入り早々に、この2万円という大きなフシ目をついに突破したが、その後は一気の上昇とはいかず、大台ラインをはさんで狭いレンジでの往来を繰り返している。今週は日米の金融政策決定会合など重要スケジュールが予定されていることで、投資家も慎重な姿勢を崩していないようだ。マーケットの先読みに定評がある識者2人に、ずばり今後の株式市場の方向性について占ってもらった。

●「大勢上昇波は不変で来月にも2万1000円台視野」

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

 12日の東京株式市場は電気や精密セクターなどを中心に売りに押された。米国株市場でナスダック指数が大きく下げたことを受けたもので、半導体関連などこれまでハイテクセクターを牽引役とした上昇相場に水を差された格好となったが、これは特に身構える必要のない“自然な調整”の一環としてとらえてよいだろう。

 米国市場ではアップルやフェイスブック、アルファベット(グーグル)、アマゾン、エヌビディアなど錚錚(そうそう)たるハイテク銘柄が揃って下値を試す展開となったが、これが12日の東京市場でも、ハイテク関連株の悪材料となっている。しかし、TOPIXの下げが限定的で、ザラ場では前日比プラスで推移する局面があるなど、株式市場全般としては、余り弱くは感じられない。また、極めて特徴的だったのは、石油や鉄鋼、鉱業、海運の一角など市況関連に物色の矛先が向かったことだ。これは、米国はもとより中国や欧州など世界的な見地から、景況感が改善方向にある実勢経済の流れを暗示している。

 今週は米国で13~14日の連邦公開市場委員会(FOMC)、15~16日に日銀の金融政策決定会合が行われる。FOMCでの利上げについては、マーケットは既に織り込み済みだ。問題は会合後のイエレンFRB議長の会見で、債券再投資の縮小についてのコメントに注目が集まっている。ただ、5月のFOMC議事録で示された「(債券再投資縮小は)9月に方針を決定し年内にも開始する」という内容をなぞるだけの形となりそうで、そこにサプライズが生じる可能性は低い。

 また日銀の金融政策決定会合についても、既に海外投資家などの注目度は極めて低下しており、この日は金融政策の変更は、全くないだろう。この日米の金融政策会合を通過した後は、いったん円高に振れる可能性はあるものの、それはあくまで短期的なポジション手仕舞いによるもの。中期的には日米金利差拡大を背景としたドル高・円安環境が続くとみている。もちろん、東京市場には追い風として作用する。日経平均株価は6月中に2万円台固めの段階を経て、7月にも2万1000円台を窺う展開が予想される。

 物色対象としては引き続き設備投資関連でキーエンス <6861> 、安川電機 <6506> 、THK <6481> などに水準訂正余地がある。ジャスダック上場の平田機工 <6258> [JQ]にも注目したい。このほか、ディフェンシブセクターでは、ピジョン <7956> やカルビー <2229> 、資生堂 <4911> など“海外の需要を捉える”内需系銘柄に評価余地があると考えている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(まぶち・はるよし)
1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程終了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は多数。最新の書籍は「勝率9割の投資セオリーは存在するか」(東洋経済新報社)。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。

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