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【通貨】為替週間見通し:ドル弱含みか、米金利見通しに不透明感

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドル下げ渋り、米FOMC会合を控えてリスク回避のドル売りは一段落

先週のドル・円は下げ渋り。米金利見通しに不透明感は残るものの、リスク回避的なドル売り・円買いは一服し、ドルは110円台に戻した。8日に行われたコミー連邦邦捜査局(FBI)前長官の議会証言で、コミー氏は「フリン前大統領補佐官に対する捜査を中止するようトランプ大統領から指示されたと認識している」と明言したが、証言内容は大統領による司法妨害を立証するものではないとの見方が広がり、議会証言後にドルを買い戻す動きが広がった。欧州中央銀行(ECB)は現行の金融緩和策を少なくとも年末まで維持するとの見方が強まり、米ドル買い・ユーロ売りがやや活発になったこともドル・円相場に対する支援材料となった。

日本銀行による金融緩和策の早期解除の思惑が浮上したことから、日本の長期金利は上昇し、8日のロンドン市場でドル・円は一時109円12銭まで下落する場面があったが、109円近辺で国内投資家や短期筋などのドル買い興味が観測されており、ドルは反転した。米国のインフレ率はやや鈍化するとの見方は残されているものの、6月13-14日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合結果やFOMCの経済・金利予測を確認したいとの理由で投機的なドル売りは拡大せず、週後半はドルを買い戻す動きが観測された。ドル・円は9日のニューヨーク市場で110円81銭まで上昇後、110円13銭まで反落し、110円30銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:109円12銭-110円81銭。

■ドル弱含みか、米金利見通しに不透明感

今週のドル・円は弱含みか。日米の金融政策(米追加利上げ、日本は現状維持)は織り込まれているが、両中央銀行の今後の方針が手がかりとなりそうだ。連邦準備理事会(FRB)は13-14日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利1.00-1.25%への引き上げを決定する公算。ただ、次の利上げ時期が9月か12月になるか現時点では読み切れず、投資家は6月の利上げ確認後は米長期金利の伸び悩みを想定して、ドル売りに転じる可能性がある。

日本銀行は15-16日の金融政策決定会合で、現行の金融政策の維持を決める見通し。16日に予定されている黒田日銀総裁の記者会見で、従来の金融緩和策の「出口」に関する方針について言及するかどうか注目される。これまで「時期尚早」としていた姿勢を改めた場合、異次元緩和策の早期解除への思惑が広がり、円買いが強まろう。

一方、8日に行われたコミー前米連邦捜査局(FBI)長官による議会証言では、2016年の米大統領選でのトランプ陣営とロシアとの関係(共謀)が明らかにされず、トランプ大統領の弾劾・罷免リスクはやや低下した。これにより減税を柱とした経済政策の進ちょくへの期待から、ドルを買い戻す動きが広がる可能性があり、ドル相場を下支えすることが予想される。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(13-14日開催予定)
14日にはイエレンFRB議長が記者会見を行う。政策金利1.00-1.25%への引き上げが市場コンセンサス。利上げは3月以来、3カ月ぶり。声明や記者会見から次回の利上げ時期に不透明感が広がれば、ドル売りが強まる可能性がある。

【日銀金融政策決定会合】(15-16日開催予定)
日本銀行は15-16日に金融政策決定会合を開催し、現行の金融政策の維持を決める公算。また、16日15時半から黒田総裁が記者会見を行う予定となっている。従来の金融緩和策「出口」をめぐる議論に関し「時期尚早」としていた姿勢を改めれば緩和解除への思惑が広がり、円買い材料になる。

予想レンジ:108円00銭-112円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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