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【特集】高橋春樹氏【強気か押し目待ちか、揺れる東京市場の見通しは】(2) <相場観特集>

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

―「出遅れ感」顕著な東京市場、株高“先回り”のタイミングはいつ―

 最高値圏で強調展開の続く米国株市場を横目に、東京市場は今一つ冴えない動きを強いられている。日経平均株価1万9000円台後半は世界的にみても出遅れ感が指摘されているが、それでも2万円大台をなかなか回復できない現状に、投資家心理も揺れている。果たして今はキャッシュポジションを高め押し目を待つべきか。それとも、強気に資金投下して満を持しての株高に先回りするタイミングか。市場第一線で活躍するマーケット関係者2人に意見を聞いた。

●「円安トレンド継続なら6月に日経平均2万1000円も」

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

 日経平均が上昇軌道に復帰したのは疑いの余地のないところだが、2万円の大台回復を前にして上値の重い足踏み状態が続いている。2万円乗せの前提として二つの条件を考えている。1つ目は、米トランプ政権の経済政策がやや遅れても、米国経済は自律的に緩やかながら成長を継続できるとのコンセンサスが確立することだ。2つ目は、外国為替市場での円安・ドル高進行の長期的なトレンドが確認されること。

 トランプ米大統領の娘婿のクシュナー上級顧問とロシアとの関係を巡る疑惑が浮上するなど、米政権の先行き不安は継続している。これに伴い、トランプ米大統領の打ち出した大型減税や公共投資拡大などの経済政策の遅れが懸念されている。ただ、現実には、企業業績や主要経済指標は押しなべて堅調な推移をみせており、NYダウ平均株価を筆頭に米株式市場の主要株価指数は過去最高値圏にある。トランプ大統領の経済政策の早期実現に頼らずとも、自律的な景気拡大への信頼度が増せば米株価のジリ高歩調は堅持されそうだ。

 外国為替市場での円・ドル相場は、現在200日移動平均線が1ドル=110円水準にあり、円安方向に向けて緩やかな右肩上がりの状態となっている。6月13日~14日の次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ直後に、もし“材料出尽くし”との受けとめが広がって、一時的に円高・ドル安方向に振れる場面があったとしても、この200日移動平均線を支えとして、再び円安・ドル高基調に復帰することになりそうだ。米国は、6月の利上げ以降も、年内2度の利上げを模索し、欧州は“金融政策の正常化”の議論が浮上している。これに比べて日本は、依然とし当面は緩和スタンスが続きそうだ。

 円安・ドル高の長期的なトレンドに変化がなければ、日経平均の1株利益1400円という割安さが徐々に評価されて、6月中には日経平均が2万500~2万1000円水準に買われる可能性は十分ある。日経平均の上昇が比較的緩やかな場合は、物色人気が個別銘柄に集中する可能性が高い。今後、注目したいのは、米株式市場での最近のIT関連銘柄物色の流れのなか、1990年代後半から2000年頃のITバブル期に人気を集め、今後のAI(人工知能)IoT(モノのインターネット)の分野でも再び活躍が期待できるソニー <6758> 、富士通 <6702> 、ソフトバンクグループ <9984> に注目している。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。

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