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2017年05月29日18時30分

【特集】大塚竜太氏【強気か押し目待ちか、揺れる東京市場の見通しは】(1) <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―「出遅れ感」顕著な東京市場、株高“先回り”のタイミングはいつ―

 最高値圏で強調展開の続く米国株市場を横目に、東京市場は今一つ冴えない動きを強いられている。日経平均株価1万9000円台後半は世界的にみても出遅れ感が指摘されているが、それでも2万円大台をなかなか回復できない現状に、投資家心理も揺れている。果たして今はキャッシュポジションを高め押し目を待つべきか。それとも、強気に資金投下して満を持しての株高に先回りするタイミングか。市場第一線で活躍するマーケット関係者2人に意見を聞いた。

●「2万円突破はきっかけ待ち、為替動向を注視」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 方向感がはっきりしない地合いであることは確かだ。何かのきっかけさえあればすぐにでも日経平均は2万円大台に乗せるような状況にあるが、その一歩を踏み出すのに苦労している。外部環境を見ると、上値を押さえている材料はトランプ米大統領の“ロシアゲート疑惑”と北朝鮮を巡る地政学リスクの2つ。しかし、いずれも当分の間はくすぶり続ける材料で、すっきり解決という局面はなかなか期待しにくい。

 トランプ米大統領とロシアの関係については今週にも行われるコミー前FBI長官の公聴会の結果を見ないことには何ともいえないが、米国株市場は足もと様子見ムードが強いとはいっても、ナスダック指数やS&P500指数が最高値を更新するなど、そもそもこの問題をそれほど恐れているようには見えない。米国株が波乱となって初めて東京市場が恐怖する順番となるわけで、ここまでの米国株を下回る日本株のパフォーマンスが“ロシアゲート”問題によるものではない、ということは明白だ。また北朝鮮を巡る地政学リスクについても、同国は3週連続でミサイルを発射するなどやることは派手だが、核実験などは行わず、超えてはならない境界線を十分理解したうえでの威嚇行為にとどめている。当初は神経質に反応していた株式市場も、最近は全体的に“有事慣れ”しており、これは逆説的に防衛関連株のボラティリティが以前より格段に低くなっている点などをみても分かる。したがって、これも上値の大きな障害とはならない。

 一方、視点を変えて株価形成の基本であるファンダメンタルズに目を向けてみれば、日米ともに極めて良好だ。18年3月期の国内企業業績から換算されるPERは割安感があるが、想定為替など実勢より円高であることを考慮すれば保守的な印象が強く、実態は増額修正含みで、今よりさらに割安ということになる。

 冒頭で述べたように、何かのきっかけがあれば視界は一変すると考えているが、可能性として考えられるのは為替の動向だ。1ドル=115円を目指すような円安局面が訪れれば、2万円台を地相場とする強調地合いに変わるだろう。その意味で今週2日の米雇用統計は注目だ。6月13~14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げは織り込み済みとしても、イエレンFRB議長の記者会見で、債券の再投資停止の話が俎上に載り、量的な引き締めへの思惑が募れば、これは円安誘導の材料となって東京市場にも強い追い風となろう。

 物色対象は人工知能(AI)関連ゲーム関連株など、しばらくは中小型テーマ株優位の流れが続くとみている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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