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【通貨】為替週間見通し:ドル・円はもみあいか、米6月利上げ期待も政治不安残る

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドル上げ渋り、米政治不安は払しょくされず

先週のドル・円は上げ渋り。トランプ米大統領が連邦捜査局(FBI)のコミー長官(当時)に対して、大統領補佐官を辞任したマイケル・フリン氏に対する捜査中止を要請していたとの疑いは消えていないが、FBIはトランプ大統領の上級顧問を務めるジャレッド・クシュナー氏の事情聴取を検討していると新たに報じられたことを懸念して、リスク選好的なドル買いはやや後退した。

また、米連邦準備理事会(FRB)が24日公表した米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(5月2-3日開催分)の内容をめぐって米長期金利は上げ渋ったことや、利上げペース鈍化の思惑が浮上したこともドルの上昇を抑える要因となった。

ドル・円は24日の欧米市場で112円13銭まで買われたが、FOMCの議事要旨公表後に反落。26日の東京市場では日経平均株価の下落を嫌気したドル売りが観測されており、ドルは110円台後半まで売られた。26日の欧米市場では、1-3月期米国内総生産(GDP)改定値の上方修正や原油先物の反発を意識してドルを買い戻す動きがみられたが、ドル・円は111円台半ば近辺で上げ渋り、結局111円33銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:110円86銭-112円13銭。

■ドル・円はもみあいか、米6月利上げ期待も政治不安残る

今週のドル・円はもみあいか。6月13-14日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向け、経済指標が堅調なら連邦準備理事会(FRB)による追加利上げ観測が高まりそうだ。しかしながら、6月利上げは想定内の動きであり、昨年11月の大統領選でのトランプ陣営とロシアとの関係を巡る疑惑は払拭されていないため、リスク選好的なドル買いは抑制される可能性がある。

5月2-3日開催のFOMC会合の議事要旨は、6月利上げの可能性を一段と高める内容ではなかったが、利上げ期待は後退していない。今週発表される4月コアPCE、5月ISM製造業景況指数、5月雇用統計などが想定通りの内容だった場合、ドル買いが優勢となる可能性がある。

一方、トランプ政権に対する米主要メディアの批判は続いており、ロシアによる米大統領選干渉疑惑をめぐって、米連邦捜査局(FBI)はトランプ大統領の娘婿であるクシュナー大統領上級顧問を調べていると25日の米紙ワシントン・ポスト電子版などが報じている。また、昨年の米大統領選でトランプ陣営とロシアが共謀した可能性を巡るFBIの捜査について、米上院情報特別委員会は5月30日に公聴会を開くことで準備を進めている。

公聴会にはコミー前FBI長官が出席し、証言を行う予定だが、ホワイトハウスや司法省の特別検察官は、証言範囲の制限を求める可能性があるとの見方が浮上している。公聴会での証言内容が疑惑を深める結果となった場合、トランプ政権に対する市場の懐疑的な見方は再び強まり、ドル売りが広がる可能性がある。

【米4月コアPCE】(5月30日発表予定)
5月30日発表の4月コアPCEは前年比+1.5%と予想されており、3月実績の+1.6%を下回る可能性がある。コアPCEの伸び率は鈍化しており、2%のインフレ目標とのかい離が生じている。4月実績が市場予想を下回った場合、6月利上げ観測はやや後退し、ドル売りに振れそうだ。

【米5月雇用統計】(6月2日発表予定)
6月2日発表の5月雇用統計は、失業率が4.4%(前回4.4%)、非農業部門雇用者数は前月比+17.6万人(同+21.1万人)、平均時給は前月比+0.3%(同+0.3%)が市場コンセンサス。賃金上昇率が予想を上回った場合、6月利上げ期待は高まり、ドル買いが優勢となりそうだ。

予想レンジ:110円00銭-113円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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