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【特集】大谷正之氏【2万円目前“足踏み”は好機か? 見通しを聞く】(2) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―地政学リスク再びも収益環境は良好、強弱感対立で向かう先は―

 東京株式市場は好調な決算発表などを受け買い意欲の強さは意識されるものの、戻り売り圧力も強く、日経平均株価は2万円大台を目前に瀬踏みを繰り返す展開。為替は企業の今期想定レートより足もと円安水準で推移しており、収益環境は追い風。しかし、一方で北朝鮮問題などの地政学リスクが引き続き重荷となっている。目先は強弱感が対立し、今後の相場をどうみるかについては意見の分かれやすいところ。先読みに定評のあるベテラン市場関係者2人に意見を求めた。

●「6月上旬までに日経平均株価は2万800円目指す」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 週明け15日の東京株式市場は、北朝鮮の弾道ミサイル発射による地政学リスクの再燃や、外国為替市場での円高・ドル安進行を嫌気して、寄り付きこそ大幅続落のスタートとなったものの、予想以上に押し目買い意欲は旺盛で、徐々に下落幅を縮小する推移となった。ただ、きょうで決算発表がほぼ終了することもあり、今週は“上昇一服”の地合いとなりそうだ。

 決算発表が進むなか、日経平均株価ベースの1株利益は1300円を上回ってきており、PERを16倍として試算した株価は2万800円となっている。従って、今後6月上旬までの期間で、日経平均株価2万800円を目指す展開が予想される。その後は、短期的な達成感などから小幅な調整は想定されるものの、中長期的には緩やかな上昇波動が継続しそうだ。

 北朝鮮を巡る地政学リスクやEU(欧州連合)内主要国での主要選挙、さらにトランプ米大統領の経済政策の不透明感などリスク要因の継続は想定されるものの、世界的な景気の堅調推移や、日本企業の先行き業績見通しの健全さなどが下支えとなり、日本株はジリ高歩調となりそうだ。日本株に対して3月まで大幅な売り越しが続いていた海外投資家も、4月入りと同時に買い越しに転じており、しばらくはこの流れが続きそうだ。外国為替市場も、米利上げが確実視されている6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)までは、円安・ドル高傾向で推移しそうだ。

 個別銘柄では、株価推移のうえで、ほかの主力銘柄と比較して出遅れ感が強いパナソニック <6752> に注目している。2020年の東京五輪を前にしての家電需要増加の追い風に加え、自動運転IoT(モノのインターネット)などの先端分野での活躍も期待できる。また、ミネベアミツミ <6479> は、スマホ向けのLEDバックライトをはじめとした部品需要の好調が見込まれている。さらに、若い女性向けの衣料、服飾雑貨のSPA(製造小売り)で、中国に積極的に店舗展開して成長を加速させているバロックジャパンリミテッド <3548> にも注目したい。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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