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【特集】檜和田浩昭氏【大型連休目前、セルインメイへの警戒は?】(3) <相場観特集>

檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)

―懸念払拭「東京市場」、日経平均の戻りメドは―

 仏大統領選の結果は大方の想定通りとなり、これを受けて、週明け24日の東京株式市場は大きく買い優勢の展開となった。しかし、まだ油断できない部分もある。あす25日は、北朝鮮の人民軍創建85周年に絡み軍事的挑発に対する警戒感がくすぶる。また、本格化する企業の決算発表に対する思惑が交錯するなか、ガイダンスリスクが改めて意識される可能性もある。5月の大型連休を前に投資家はどう対処すべきか。第一線で活躍する市場関係者に、ここからのマーケット展望を聞いた。

●「5月相場で1万9600円台回復の可能性も」

檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)

 北朝鮮を巡る地政学リスクは継続しているものの、重大な軍事的衝突が起こらない限り、市場参加者の関心は、今週後半から本格化する3月期決算企業の収益結果発表と18年3月期の業績見通しに移っていく。さらに、4月末には、トランプ米大統領の就任100日(29日)や、米政府の暫定予算期限(28日)など、米政権の経済政策にとって重要なフシ目を迎えることになる。

 23日に実施された仏大統領選の第1回目投票は波乱なく無難にイベントを通過したことで、投資家心理は改善している。中道系独立候補のマクロン元経済産業デジタル相、極右政党・国民戦線のルペン党首の両氏が5月7日の決選投票に進出することになった。世論調査などで、決選投票でのマクロン氏の優勢が伝えられていることから、フランスの欧州連合(EU)離脱懸念が後退していることが買い安心感につながっている。

 北朝鮮や中東を巡る地政学リスクはあるものの、国際通貨基金(IMF)が18日発表した世界経済見通しでは、2017年の世界全体の成長率を1月の前回見通しから0.1ポイント引き上げて3.5%に上方修正するなど、経済全般は堅調な推移が見込まれる。今後、5月までの日経平均株価の動向は、下値は1万8200円程度で、上値は年初来高値圏の1万9600円台まで上昇する可能性がありそうだ。

 発表が本格化する決算に伴う18年3月期の業績見通しは、足もとの円相場から判断すると保守的な内容となりそうだ。ただ、減収ながらも大幅増益を確保するケースや、ROE(自己資本利益率)を大幅に向上させている企業も目立つなど、企業価値の評価基準は多様化している。物色対象として注目したいのは、製造装置を中心とした半導体関連のセクターだ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長を経て2015年11月から現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。

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