【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 株式市場に曙光射すか
株式評論家 植木靖男
●「底」を知るには悪材料を数えろ
株式市場は景色が一変しつつあるかにみえる。日経平均株価は4月17日、18日、19日と待望の3日連続高となった。ひとまず下げ止まり、これでようやく土俵に上がれる状況になった。
いつものことながら、株価が下げ止まるのは悪材料が山積しているときだ。
昔からよく言われるのは、“悪材料を数えろ。もし、両手で数え切れないくらいあれば、もはや底が近い”という格言。また、こうも言う。天底のときは“材料には目をつぶれ、ひたすら株価の値動きに神経を集中しろ”と。
いまはそんな状態なのかもしれない。北朝鮮、仏大統領選、英国の選挙といった政治リスクに加え、トランプ大統領の政策未実現、為替問題などの経済リスクもあり、まさに不安材料のオンパレードである。その数は両手ほどではないにしても、いまはそれに近い状態かもしれない。
そうしたなかでの3日連続高は刮目すべきであろう。
そもそもの北朝鮮核実験問題、もう耳にタコができるほど聞き飽きた状態にあるのは事実。拳を振り上げた当の米国だが、頼りとする原子力空母はなにやら違う方向に航行中とか。米国の本気度が疑われる始末。北朝鮮にしても金正恩は米国の軍事的圧力で穴に身を潜めたいほどの心境ではないか。となれば、米国・中国・北朝鮮とも落とし所を探る段階に入っているのでは…。
また、いま関心が高い仏大統領選。フランスはドイツとともにEU内で最もメリットを享受している国だ。反EUの選択はあり得ないのが常識である。
●全般買い転換は未だしも、楽しみな金融株
かくして、悪材料は時が経つにつれ市場で薄れていくのが定石。逆に流れが変わり、明るい方向に向かうと、不思議と次は好材料が相次ぐもの。相場とは面白いものである。
米国ムニューシン財務長官の税制改革発言や新たなオバマケア代替案が浮上。またわが国市場にとって最も影響力の大きい円相場を巡る材料では、米国長期金利が2.2%を割り込んだあと、ここ再び浮上を始めようとしている。
まさに好材料が次々と浮上してくるのだ。
とはいえ、日経平均ひとつとってもまだ買い転換したわけではない。案外、土俵に上がっただけであり、病み上がりのフラフラ状態かもしれない。月末にかけどう展開するか見極めたい。
もっとも指数より一足早く、個別業種、銘柄の中にはすでに買い転換したものもある。その典型は金融株。今後の展開が楽しみな業種といえよう。
2017年4月21日 記
株探ニュース