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【通貨】為替週間見通し:ドルは弱含みか、トランプ政権のドル高けん制を意識

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドル・円は108円台、トランプ米大統領はドル高を懸念

先週のドル・円は続落。週初に111円58銭まで買われたが、地政学的リスク増大を警戒したドル売り・円買いが増えたことやトランプ米大統領が「ドルが経済への痛手になるほど強くなり過ぎている」、「低金利政策を好む」と述べたことから、ドル売りが一段と広がり、ドルは108円55銭まで下落した。

連邦準備理事会(FRB)の年内の利上げ軌道は変わらないとの見方が広がったことや、6-7日に行われた米中首脳会談で通商摩擦は回避されるとの思惑が浮上し、ドル買い・円売りが先行した。しかし、シリア情勢にまだ先行き不透明感が強いほか、北朝鮮の国家的イベントが続くなか、米国が朝鮮半島近海に空母を派遣したことで緊張感が高まり、リスク回避の円買いが強まった。

トランプ米大統領が米紙WSJに対して「ドルが経済への痛手になるほど強くなり過ぎている」、「低金利政策を好む」との見方を伝えたことから、リスク回避的なドル売りが活発となった。一部ファンド筋が円売りポジションを縮小しているとの観測が広がったこともドル売りを促す要因となった。14日の欧米市場はグッドフライデーの祝日で休場だったが、ドルの上値は重いままとなり、108円64銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:108円55銭-111円58銭。

■ドルは弱含みか、トランプ政権のドル高けん制を意識

今週のドル・円は弱含みか。トランプ米大統領がメディアとのインタビューで「ドルは強すぎる」と発言していることから、ドルの上値は重いままとなりそうだ。トランプ大統領は利上げを歓迎していないとの見方も浮上しており、米連邦準備理事会(FRB)による年3回の利上げシナリオに狂いが生じるケースも想定される。

また、引き続きシリア情勢や北朝鮮有事など地政学リスクが意識されやすい。北朝鮮が弾道ミサイル発射や核実験強行など挑発的な行動を続けた場合、トランプ政権は武力攻撃に踏み切る可能性がある。14日付けの米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、トランプ政権は北朝鮮の体制転換を目指すのではなく、核・ミサイル開発を放棄させるために最大限の圧力をかける方針を決めたと報じた。

新たな政策では、北朝鮮を核計画放棄の交渉に復帰させるための制裁や外交的手段が行使されるもようだが、最大目標となる朝鮮半島の非核化が実現されるまでは、朝鮮半島有事に対する警戒感が消え去ることは期待できない。

一方、18日に東京で開かれる日米経済対話では、両国の経済政策の中で貿易に関する枠組みについて協議されるとの見方が多い。米国は貿易不均衡の是正を求めており、日本との自由貿易協定(FTA)交渉も視野に入れている。為替に関する議論も含まれるとみられる。トランプ政権は対米貿易黒字国による通貨安誘導を強く批判しているが、米国側が日本銀行による金融緩和策をどのように評価するのか、市場関係者は注目している。

【日米経済対話】(18日予定)
トランプ政権との初の経済閣僚会合。財政・金融政策などの経済政策、インフラ投資・エネルギー関連での協力、主要3項目を中心に両国が協議すると予想されている。米国は貿易不均衡の是正を急ぐ構えを見せており、協議は難航するとの思惑が浮上している。

予想レンジ:107円00銭-110円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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