【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「陰転で需給悪化」
株式評論家 富田隆弥
◆「3日新甫」の4月、そして「セルインメイ(5月に株を売れ)」の5月を控え、日経平均株価は案の定冴えず、4月13日現在1万8304円まで下げてきた。「地政学リスク」やトランプ米大統領の「ドル高不満発言」もあり円(対ドル)が5ヵ月ぶりの108円台となれば、企業業績への期待は懸念に変わるだろう。だが、一番懸念されるのは株価下落で「需給」が悪化することだ。
◆日経平均の週足をみると、トランプ氏が大統領に当選した昨年11月9日1万6111円を安値に、発会翌日(1月5日)1万9615円まで2ヵ月で3500円(21.7%)急騰した。しかし、その後は伸び悩み、3月2日1万9668円、3月13日1万9656円と戻り高値をつけ、そして13週移動平均線(1万9174円)、26移動平均線(1万8793円)を割り込みチャートは「陰転」、ダブルトップを確定させた。
◆トランプ相場のイイとこ取りで強気観測が横行していただけに、この「陰転」に伴う需給悪の影響は小さくない。年末年始の上昇で投資家のマインドは盛り上がったが、徐々に買い疲れ感が漂い始め、そして株価下落で利食いや見切りの「売り」が出始め、「下がるから売る、売るから下がる」という負の連鎖に陥るリスク(トランプリスク)を孕んでいる。
◆日経平均は3月の戻り高値から1300円超(約7%)下げ、RCIや騰落レシオなど日足のテクニカルは底値圏を示唆する。為替(ドル円)も108円台まで軟化して200日移動平均線や52週移動平均線に抵触した。ここまでくれば「反発」が想定されるところだが、崩れた相場が好転するには3月高値を奪回する必要がある。
◆また、カギを握るNYダウも3月1日高値2万1169ドルから伸び悩んでいる。12日現在2万0591ドルだが、週足は上昇二波を終えて「三波」に移行できるか、それとも「陰転」かの正念場を迎えている。2万0540ドルの13週移動平均線を維持できないと1万9860ドルの26週移動平均線や1万9000ドルの52週移動平均線に向け調整を深める可能性が出てくる。
◆日米とも急落に伴う自律反発を見せてもおかしくないところだが、チャートが陰転気配を見せており「3月高値奪回」を確認するか、もしくは52週移動平均線(日経平均の52週移動線は1万7630円)近辺に突っ込むまで様子見も一策と考える。「需給」が相場最大の材料であり、改善の兆しが出るのを待つところだろう。
(4月13日 記、毎週土曜日10時に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース