【特集】檜和田浩昭氏【“上放れ”待つ東京市場、「その時」はいつ】(2) <相場観特集>
檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)
―カギは“新年度入り”、もみ合い継続も4月の視界は良好か―
東京株式市場は日経平均株価が1万9000円台半ばで引き続きもみ合う展開にあり、なかなか方向感が定まらない。ここ米国株市場でもNYダウの上値が重くなっているほか、為替相場の円高警戒感も依然として根強い。期末目前の相場にどのような視点で向き合えばよいのか、そして新年度相場はどうなるのか。市場第一線で活躍するマーケットアナリスト2人に意見を聞いた。
●「4月入りで日経平均2万円目指す、半導体関連に物色の矛先」
檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)
3月期末までの年度内の東京株式相場は、国内機関投資家などの投資主体が動き難い状態にあることや、事業会社の利益捻出のための売却なども加わるため、季節要因からも一本調子の上昇となりにくい地合いといえる。その半面、大きく下げれば日銀によるETF(上場投資信託)買いが想定されることもあり、3月末までは、日経平均株価で1万9500円を軸にして、比較的小幅なレンジでのボックス推移となりそうだ。
4月からの新年度に入ると、国内機関投資家の売買スタンスに自由度が回復してくるのに加え、3月期決算企業の通期決算や新年度業績見通しの発表が接近してくることから、企業業績の好調さを評価しての買い姿勢が強まることが予想され、日経平均株価は2万円大台を目指した推移となりそうだ。
米株式市場は、5月ごろまではトランプ政権の経済政策への期待感から、比較的堅調な推移が見込まれる。日本株への影響度が大きい米金利の利上げについては、現状の年3回想定からペースが小刻みになるようなことになれば、円安・ドル高進行も想定できそうだ。
新年度の物色動向は、円安・ドル高が定着するなかで、外需、輸出関連の主力銘柄に注目が集まりそうだ。ただ、自動車は、トランプ米大統領の保護貿易主義的な政策の象徴とされ、収益に圧迫を受ける懸念もある。一方、スマートフォンなどの情報端末関連をはじめ、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、自動運転など成長分野に欠かせない半導体関連銘柄に物色の矛先が向かいそうだ。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長を経て2015年11月から現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。
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