【特集】“絶望の人手不足”外食・小売に救世主、「省力化」実現株は来たれり <株探トップ特集>
アルファクス <日足> 「株探」多機能チャートより
―「働き手」減少が労働集約型産業を直撃、“現場の悲鳴”解決するのは―
労働集約型産業といわれるサービス業が人手不足で悲鳴をあげている。直近ではヤマト運輸をはじめとする宅配業界の危機が大きな話題となったが、労働力をパートやアルバイトに頼る飲食業界や小売業界も人員確保に悩むのは同じ。少子高齢化の進展で働き手の絶対数が減少するなか、省力化につながる機器やシステムへの需要は今後さらに拡大しそうだ。
●飲食・小売りのパート不足が深刻化
厚生労働省が15日に発表した労働経済動向調査によると、2月の産業別パートタイム労働者の過不足判断DI(不足から過剰を引いた割合)は、宿泊業・飲食サービス業が64(前回調査の16年11月は64)とトップ。また、卸売業・小売業は43(同47)、運輸業・郵便業は32(同36)で、人手不足の解消にはほど遠い状況だ。これら業種は「キツイ」とのイメージからいっそう人が集まりにくく、正社員にしわ寄せが起きている。
●人材確保を理由に営業時間短縮の動き広がる
外食や小売りでは人材確保のため営業時間の短縮を打ち出す企業が増えており、数年前まで営業時間を延ばすことで売り上げを増やそうとしていた動きから一変している。日本マクドナルドホールディングス <2702> [JQ]やロイヤルホールディングス <8179> が24時間営業の見直しを進めているほか、すかいらーく <3197> は昨年12月に約8割にあたる店舗で営業時間を短縮すると発表。小売業界でもイオン <8267> が2月から千葉の旗艦店などで閉店時間を1時間程度早め、ファッションビルを運営するルミネ(東京都渋谷区)も4月から閉店時間を30分早める。
●小売業界で導入が進むセルフレジ
人手不足の解消策になり得るのが省力化につながる機器やシステムの導入で、小売業界では顧客自身がレジを操作して会計を行う「セルフレジ」が普及しはじめている。最近ではスーパーマーケット以外にも広がりをみせており、ゲオホールディングス <2681> は2月に全国の直営125店舗に233台のセルフレジを追加導入すると発表した。同社は導入効果について「レジ打ちの時間を他の業務に充てることができるほか、シフトを柔軟に組めるようになることでスタッフの負担が軽減される」(広報課)としており、今後も順次追加導入する予定だという。こうした動きはセルフレジを手掛ける東芝テック <6588> や富士通フロンテック <6945> [東証2]の追い風になるほか、パナソニック <6752> とローソン <2651> が実証実験を進めている完全自動セルフレジ機「レジロボ」の早期実用化に期待がかかる。
他方、大日本印刷 <7912> は7日に、コンビニ向けの低価格ICタグの開発に着手したと発表。日本ユニシス <8056> は13日に、ロボットによる店舗の在庫や売価チェック、来店客への商品提案を実現する自律移動型サービスロボットの実証実験の第2弾を家電量販店で実施することを明らかにした。小売業向け基幹システムを提供するアイティフォー <4743> や、運ぶ機能と陳列する機能を併せ持った段ボールケースを手掛けるレンゴー <3941> のビジネス機会も広がりそうだ。
●注目される外食企業向けシステムインフラ
外食業では食材ロスの発生が利益の減少に直結するため、いかにして効率よく在庫を管理するかが重要なカギとなる。そこで着目したいのがシステムインフラを提供する企業で、アルファクス・フード・システム <3814> [JQG]やシンクロ・フード <3963> [東証M]、富士通ゼネラル <6755> 、内田洋行 <8057> 、日本システムウエア <9739> などが挙げられる。アルファクスは「人手不足がより深刻化していることで、飲食店経営管理システムなどの需要を感じる」(IR広報担当)といい、今年1月に在庫管理システムおよびプログラム(同社通称:自動発注システム)に関する特許を取得した効果にも期待を寄せている。
このほかでは、AKIBAホールディングス <6840> [JQ]が1日に、子会社のバディネットがトリノ・ガーデン(東京都港区)と共同で、Wi-FiセンサーとAI(人工知能)を活用した店舗向け行動解析サービス「フローコックピット」を開始したと発表。SV(スーパーバイザー)を店舗に出向かせることで運営状況を把握していた本部の管理業務を半減することができるとしている。
株探ニュース