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【特集】“半導体スーパーサイクル”に乗れ―関連株「全面蜂起」の足音 <株探トップ特集>

東エレク <日足> 「株探」多機能チャートより

―歴史的「需要増」が生み出すもの、株価変貌の季節が到来する―

 半導体関連株に再び活況相場が蘇りそうだ。近年の世界的な半導体需要の伸びは特筆に値する。産業のパラダイム変化を背景に、これまでのシリコンサイクルから完全に脱却した世紀のビッグウェーブが訪れる可能性が高まっている。

 ビッグデータの普及本格化に加え、IoT(モノのインターネット)時代の到来、加速するスマートフォンのハイエンド化。そして、現在も進化過程にある自動車のエレクトロニクス武装、とりわけ世界がしのぎを削る自動運転車への取り組みは、人工知能(AI)などソフト面の進化だけでなく、ハード面で半導体の新たな活躍の舞台を提供していくことになる。今後、半導体スーパーサイクルへの突入が株式市場でも強く認識され、関連銘柄には株価変貌の季節が到来することになりそうだ。

 米国では半導体大手インテルが、イスラエルの先進運転支援システム大手モービルアイを153億ドル(約1兆7500億円)で買収すると発表、自動運転分野で主導権を握ることに貪欲な構えをみせている。自動運転車はいわば電子部品の塊だ。自動運転車の普及は車載用半導体需要も大きく喚起することは自明の理といってよい。インテルの巨額買収発表を受け、米国株市場では半導体関連株が軒並み動意づく流れとなったのもうなずける。半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は前日14日こそ反落したものの、13日時点で999.39と過去最高を更新、未踏の1000の大台が目前だ。

●東芝の半導体分離も大勢に影響なし

 株価形成には近未来に対する期待感も含まれるが、足もとの実勢に焦点を絞っても半導体関連業界は大活況を呈しているといっても過言ではない。需要の急拡大を反映してここ数ヵ月にわたりDRAM価格の上昇が顕著となっているほか、自動運転などリアルタイム処理が必要となるシーンでNAND型フラッシュメモリーが不可欠のデバイスとして存在感を高めている。特に、大容量化・高速化の流れを受け、立体方向に積層化した3次元NAND型フラッシュメモリーの市場が急速に立ち上がっている。現在3次元NANDは64層が最先端品だが、近い将来に3次元NANDは100層レベルまで進化する余地があるといわれ、同分野で先行する韓国サムスン電子や米インテルなどが、同分野での主導権掌握を狙った戦いを繰り広げていくことになる。

 国内では東芝 <6502> と米ウエスタンデジタル(WD)の2社連合が3次元NAND分野への積極注力の構えをみせてきた。しかし、東芝が米原発事業に絡む巨額損失の問題で半導体事業を分社化し新会社株式を一部売却する方向となったことで、先行き不透明感をもたらしている。ただし、これについては大勢への影響は極めて限定的。「東芝とWD連合が崩壊したとしても3次元NANDの構造的な需要とは別次元の話。東芝の凋落によって半導体材料や製造装置メーカーなど周辺企業のビジネスチャンスが失われることでは全くない」(業界関係者)との見方で、間違いはないようだ。

●300ミリウエハーに追い風強い信越化

 現在、旺盛な半導体需要を映してシリコンウエハーは世界的に需給逼迫状況にある。これはシリコンウエハーメーカーにとっては、製品値上げにもつながり利益面で強力な追い風となる。300ミリウエハーの世界最大手である信越化学工業 <4063> はその恩恵を享受するとみられる。会社側では「(300ミリウエハーの)値上げ交渉に動いていることは事実で、(値上げが)通っているところもあれば通っていないところもある。今後の見通しについて必ずしも楽観的な見方はしていないが、期待感は持っている」としている。また、3次元NANDの市場が拡大した場合に「シリコンウエハーの需要は物理的に増幅されることは確か」との見解を示しており、値上げ効果と合わせて、来期以降の同社の収益成長が期待される局面にある。

 また、株価を先駆させた半導体製造装置メーカーでは、エッチング装置など前工程を手掛ける東京エレクトロン <8035> などがその代表格。3次元NANDは積層した電極を柱状に突き通す構造でエッチング工程では深掘り技術の優劣が勝負を分ける。いうまでもなく同社は勝ち組に位置している。同社の株価は今年に入ってから1万1000~1万2000円のゾーンで売り物をこなす状況だが、早晩ここを抜けて上値追いを再度本格化させる可能性がある。「2020年3月期に売上高9000億円、営業利益率25%(2250億円)を目指しており、そのなかでエッチング装置全体の世界シェアを36%まで高める方針」(会社側)であり、「積層化で大容量・高速化に対応する3次元NANDメモリーの出現は、これまでの微細化投資の流れを止めることにはならないが、今後さらに市場が拡大していく公算大」との見方だ。

●フェーズチェンジで出番到来のアドバンテ

 半導体製造装置でも後工程の半導体検査装置を手掛けるアドバンテスト <6857> の株価も大きく水準訂正途上にある。3月中旬とはいえ巷間はまだ冬の寒さが残るが、会社側では同社を取り巻く収益環境にひと足早い春の暖かさを感じている。「データセンターの増設や自動車の電装化進展はフェーズチェンジを示唆するもので、半導体スーパーサイクルといわれることについては違和感がない」(会社側)としている。そのなか「メモリーテスター(半導体検査装置)については過去10年間投資が抑制されてきた分野でもあり、その部分では今後に期待している」(同)という。3次元NANDについては「まだ本格的に量産が確立されていない商品分野だが、今後は次第に全体に占めるシェアが上がっていくとの認識を持っている」(同)としており、新たな需要創出が来期以降の業績に反映されることに期待をかけているもようだ。

●関電化は「WF6」を増産に次ぐ増産

 また、半導体特需は、DRAM向けに誘電材料を手掛けるADEKA <4401> や特殊ガスを製造する関東電化工業 <4047> など周辺企業にもかつてない商機を与えている。

 関東電化は半導体向けに6フッ化タングステン(WF6)や3フッ化窒素(NF3)などの特殊ガスを手掛けており、高水準の需要を背景に現在、生産設備の増強に動いている最中にある。会社側によると「3フッ化窒素は半導体だけでなく液晶製造工程にも使われるが、6フッ化タングステンについては半導体に特化している。この6フッ化タングステンは需給逼迫に対応して、昨年11月に300トンから720トンに生産能力を拡大させたが、さらに増強する方針で6月をメドに840トンまで引き上げる計画」としている。増産以前と比較して2.8倍に高まることになるが、「2、3年先の構造的な需要拡大を視野に置き、さらなる増産も検討している段階」(会社側)としている。

●製造装置に続き材料メーカーも全面開花へ

 いうまでもなく半導体関連株の裾野は広い。3次元NAND型フラッシュメモリーはフル生産状態が続いているが、これは半導体革命の入り口に過ぎない。先駆した半導体製造装置メーカーの株価に半導体材料メーカーの株価もようやくキャッチアップを果たしているが、ここからは総花的な上昇が待つ。

 製造装置メーカーでは前述の東エレク、アドバンテのほか、SCREENホールディングス <7735> 、ディスコ <6146> 、日立国際電気 <6756> 、ローツェ <6323> 、ニューフレアテクノロジー <6256> [JQ]、東京精密 <7729> 、アピックヤマダ <6300> [東証2]、ワイエイシイ <6298> 、タツモ <6266> [JQ]、新川 <6274> などが挙げられる。製造工程で必須となる特殊ガスでは、前述の関電化のほか、工業ガス最大手の大陽日酸 <4091> 、エア・ウォーター <4088> などに注目。封止材を手掛ける日本ピラー工業 <6490> もマークしたい。

 また、半導体材料を手掛ける企業群としては前述のシリコンウエハー世界トップの信越化を筆頭に、同じくシリコンウエハーで世界屈指のSUMCO <3436> や、多結晶シリコンのトップメーカーであるトクヤマ <4043> 、レジスト関連では住友化学 <4005> 、東京応化工業 <4186> 、JSR <4185> などが有力視される。

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