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【特集】シンワアート Research Memo(5):エネルギー関連事業の大幅な拡大を見込み、通期予想を据え置き

シンワアート <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績見通し

1. 2017年5月期の業績予想
2017年5月期の業績予想についてシンワアートオークション<2437>は、期初予想を据え置き、売上高を前期比10.3%増の4,299百万円、営業利益を同17.1%増の417百万円、経常利益を同15.2%増の382百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同37.2%増の225百万円と増収増益を見込んでいる。

オークション関連事業に回復の兆しが見えないものの、エネルギー関連事業が下期業績の伸びに大きく貢献する見通しである。特に、太陽光発電施設の販売は通期で150基以上(前期は101基)の積み上げを見込んでおり、期初計画の130基を大きく上振れる想定となっている。また、売電収入も秩父市発電施設の稼働により40百万円程度の上乗せ要因となるようだ。一方、オークション関連事業は、本格的な回復は想定していないものの、プライベートセールの強化により巻き返しを狙う構えである。

弊社でも、オークション事業は、引き続き外部環境に左右される展開が予想され、回復に向けての道筋は長い目でみる必要があるが、エネルギー関連事業が同社の想定どおり150基以上の販売で着地すれば、通期業績予想の達成は可能であるとみている。特に、2016年11月末の前渡金勘定(太陽光発電施設の開発案件)が1,184百万円(前期末は199百万円)と大きく積み上がっていることや、2016年12月からはシンワアートオークション本体でも太陽光発電施設の販売事業に参入したことなどを勘案すると、会社の想定には現実味があるものと捉えることができる。ただ、業績への寄与が3月の連系に向けて3月(第4四半期)に集中する可能性が高いことには注意が必要だろう。

2. 来期(2018年5月期)業績の考え方
弊社では、オークション事業については、来期についても大幅な回復は見込めないものと考えている。一方、太陽光発電施設の販売事業については、2017年4月1日から固定買取価格が引き下げ(24円から21円)となることや、優遇税制措置が受けられる期限が2017年3月末に到来することから、来期の業績にどの程度影響してくるのか、そして新たな収益ドライバーがどのように業績貢献してくるのかがポイントになるとみている。

太陽光発電施設の販売事業について同社では、現在の金利政策の下において、利回りさえ確保できれば、同社が得意とする個人富裕層からの根強い投資ニーズは継続するとの見方をしている。そのうえで、これまで蓄積してきたノウハウの活用(外部に依存していた部分の内製化など)により調達コストの削減を図ることで、前述した状況の中でも高い利回りを確保できる事業モデルの確立を目指す構えである。また、既に事業者間で2極分化(勝ち組と負け組)が進んでいるが、2017年3月末に向けてさらに撤退する事業者が増えることが予想され、個人富裕層向けで実績や信用を築いてきた同社にとっては、残存者利益を享受できる機会と捉えることもできる。弊社でも、これまで権利取得等については系統連系が確実になったものを他の事業者から仕入れる形で慎重に行ってきた同社であるが、ノウハウが蓄積されてきたことから初期工程の内製化によるコスト削減の余地は大きいと推察している。また、残存者利益を含め、スケールメリットによるコスト削減効果も期待できる。利回りさえ確保できれば、同社の見立てと同様、富裕層マーケティングに強みがある同社にとっては、太陽光発電施設販売事業の更なる事業拡大も可能になると考えられる。また、安定収入源として期待している売電収入も、2016年11月より稼働を開始した秩父市の太陽光発電所は年間1億円規模の収入が見込め、来期はフルに業績寄与する見通しである。

一方、新たな収益ドライバーについては、保険代理店事業が足踏み状態にあるものの、医療ツーリズムやサプリメント販売については緩やかなペースながら着実に立ち上げってきており、来期以降の業績に少なからず寄与してくるものとみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《SF》

 提供:フィスコ

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