【特集】檜和田浩昭氏【ボックス上放れの条件、日本株“浮上の日”】(2) <相場観特集>
檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)
―薄らぐ不透明感、3月相場のポイントと物色動向―
連日で最高値更新を続ける好調な米国株市場を横目に、日本株はやや上値の重さが目立つ展開を余儀なくされている。日経平均株価は1万9000円台半ばをボックス上限とするもみ合いで、なかなか本格浮上の機がつかめない。来週半ばにはいよいよ3月相場に突入する。今期末に向けた東京株式市場の見通しについて、相場予測に定評のある市場関係者2人に意見を聞いた。
●「海外投資家復帰で3月末までに1万9800円にトライ」
檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)
東京株式市場は、4-12月期の決算発表が終了して手掛かり材料不足のなか、円相場の動向に敏感に反応する神経質な地合いが続いている。ただ、来週にも大枠の発表が予想される大規模な法人税減税の実施など、トランプ米政権の経済政策への期待感は根強く、時価水準からの下値不安は限定的といえそうだ。
決算発表の内容を見ると、全体的には好調さが目立っている。売上高は減収ながら利益は過去最高益更新を達成するなど企業努力が顕在化しているケースも多い。今後の日経平均株価の推移は、下値は1万9000円台を少し割り込む程度の水準。上値は心理的フシ目の1万9500円を上回ってくれば、3月の年度末までには1万9800円台にトライすることになりそうだ。
そのためには、やはり海外投資家の本格復帰が必須条件となってくる。外国人投資家は、トランプ米大統領が打ち出している保護主義的通商政策の象徴となっている日本の自動車各社の業績動向を懸念しているようだ。この自動車に代表される日米通商問題に一定の方向性が出て落ち着けば、海外投資家の買いも復調軌道に乗りそうだ。
今後の物色対象としては、国内外を問わず積極的なM&A(企業の合併・買収)で成長を目指す企業や、需要拡大で業績が好調な推移をみせている半導体関連。また、初代の発売から10周年を迎えたスマートフォン「iPhone」の新モデルに絡んで、有機EL関連などにも注目したい。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長を経て2015年11月から現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。
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