市場ニュース

戻る
2017年01月26日18時00分

【特集】「NYダウ未踏の2万ドル大台乗せ!ズバリここからの展望」第一生命経研・桂畑誠治氏に聞く!<直撃Q&A>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)
 米国株市場では25日、NYダウが上値のフシ目となっていた2万ドル大台をついにクリア、ナスダック指数やS&P500指数に続き青空圏に突入した。トランプ相場が再び勢いを増すなか、そのベースとなる米国経済や企業業績に弱点はないのか。また、今後もNYダウは上値追いが続くのかどうか。米国の動向に詳しい第一生命経済研究所主任エコノミストの桂畑誠治氏に話を聞いた。

Q1 あす27日に米国で10~12月期のGDPが発表されます。見通しについてはいかがでしょうか? またポイントがあればご教示ください

桂畑 16年10~12月期の米GDPについては前期比年率2.1%増前後を予想している。7~9月期は3.5%増であったので、そこから数値的には鈍化する可能性が高そうだが、これは米国経済の実勢を反映したものとはいえない。7~9月期は純輸出と在庫投資で押し上げられた格好となっており、この2つの項目は変動幅が大きく、10~12月期についてはその反動が出る形となる。経済実勢を見るうえで着目したいのは国内最終需要だ。その内訳をみると、個人消費はしっかりした動きで設備投資も回復、住宅投資も持ち直しの傾向にあり、足もとは堅調を維持している。米国経済は引き続き好調な状態にあるとみている。

Q2 企業業績のほうはいかかでしょうか? 決算発表が大方出揃いましたが、率直な感想を聞かせてください

桂畑 製造業、非製造業ともにポジティブな印象だ。為替のドル高デメリットが製造業に反映されると思っていたが、蓋を開けてみると意外にもその影響があまり感じられない内容となっている。10~12月期は欧州や中国など世界的に景気が改善に向かい始めている段階にあり、それがドル高による収益への圧力を減殺したのではないかとみているが、いずれにしても強さが目立った。また、非製造業は金融業界が好調であり、全体を牽引する構図となっている。トランプ相場による株高など金融市場の活況が大きく寄与した。

Q3 NYダウが未踏の2万ドル台に乗せてきました。昨年12月中旬から1カ月以上にわたり大台目前で瀬踏みを繰り返していたわけですが、今回の達成で視界は変わるでしょうか?

桂畑 ダウ2万ドルのラインは心理的なフシ目ではあったが、この水準自体に大きな意味はなく、今後はここを通過点に一段と上値を指向する展開を想定している。ここにきての米国株の上昇は、トランプ大統領が打ち出す政策への期待感が高まったこと、そして企業の決算も良好であったこと、この2つの要因が強力な足場となっている。

 また、トランプ政策について現実的な効果が見込まれるのは新年度である10月以降とみられがちだが、必ずしもそうではない。現在は4月28日までの暫定予算で動いているが、5~9月までの予算は新たに編成され、その期間中に掲げている政策に実際に財政が絡んでくる公算が大きい。例えば、10年間で1兆ドルのインフラ投資については、額面通り実施される可能性も高まっているが、これが前倒しで動き出すことも考えられる。巨額減税については富裕層対象分などが減額され、ややスケールの小さいものとなる可能性はある。しかし、中間所得層対象の減税は当初計画通りに行われる見通しで、マーケットの失望を呼ぶことはないだろう。これについても10月から遡って還付金という形で減税効果が発現する可能性があり、そのケースでは株式市場にもポジティブに反映されそうだ。

 米国株市場にとってのリスクシナリオとしては、ドル高による製造業へのデメリットが顕在化することと、トランプ大統領が推し進める保護主義的政策が貿易摩擦を生み、諸外国に報復的な動きが出ること。ただ、基本的には上値の伸びしろは大きいと判断され、主要シナリオとして、NYダウは年内に2万1500ドル近辺を目指す動きを予想している。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)

日経平均