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【特集】田部井美彦氏【トランプ就任で大幅安、下値メドと反転の日】(2) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

―保護主義的政策に警戒感、東京市場の行き先は―

 注目されたトランプ大統領の就任演説は、具体的な経済政策への言及がなく、「米国第一」を繰り返す新鮮味に乏しい内容だった。保護主義的な政策路線に対する警戒ムードが漂うなか、為替の円高進行と相まって週明けの東京株式市場は利益確定売りの砲火を浴びた。トランプ相場の陰の部分も見え始め、投資家心理にも気迷いが出ている。ビッグイベント通過後の東京市場はどこへ向かうのか。第一線で活躍する市場関係者の声をまとめた。

●「好業績銘柄の個別物色が全体相場を牽引へ」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 週明け23日の日経平均株価が反落したのは、トランプ大統領就任式に向けて全体相場が調整基調にあったものの、前週末に掛けての3日続伸で合計300円を超える上昇幅となっていたことへの反動もあったようだ。

 保護主義的な通商政策が全面に打ち出されていることもあり、外国為替市場で1ドル=113円台前半へと円高・ドル安が進行していることで、株価も軟調推移を強いられている。インフラ投資などの経済政策を具体化するためには、予算面での裏づけや議会(共和党)との調整など時間が必要で、強いアメリカを強調するための保護主義的な面が、どうしてもリスクとして先行する印象を与えてしまう。

 1万8400~1万9000円の価格帯は、過去の累積売買代金が少なく価格が変動しやすいことから、この価格帯内での調整場面はありそうだ。ただ、きょうは 日経平均株価東証株価指数(TOPIX)は大幅安となったものの、東証マザーズジャスダック東証2部の株価指数はそろって上昇をみせており、個別のテーマや材料に対する株価の反応は良好さを残している。今週後半から本格化する4-12月期決算発表に伴い、好業績銘柄の個別物色が全体相場を牽引する可能性もある。

 個別銘柄では、IoT(モノのインターネット)関連の中核的存在である三菱電機 <6503> を挙げたい。同社は、第3・第4四半期の想定為替レートを1ドル=100円(第2四半期は107円)と保守的に修正したにも関わらず、17年3月期通期の連結営業利益を2350億円から2500億円へ上方修正しており、業績面での堅調さが際立っている。このほかに、米国本土での自動車生産の増強を打ち出し、メキシコでの製造拠点を持たない富士重工業 <7270> にも注目したい。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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