【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:トランプ政権、ファナック決算、中国春節
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
■株式相場見通し
予想レンジ:上限19300-下限18900円
来週はこう着感の強い相場展開が続きそうである。いよいよドナルド・トランプ氏が第45代米大統領に就任した。市場ではトランプ政権の政策を見極めたいとする模様眺めムードが強まっていたが、就任式での発言というよりは、デモ隊等による混乱を警戒していた面もあった。そのため、無事にイベントが通過したことにより、一先ずアク抜けといった格好となり、改めてトランプ政権への期待感から物色意欲が強まる可能性はある。
想定内とはいえ、トランプ大統領は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から離脱すると明らかにし、「米国第一主義」を宣言した。安倍首相は早期に首脳会談を行いたい旨を明らかにし、日米同盟が不可欠との認識を示しているが、政策の遅れ等がネガティブ視される局面も意識しておく必要はありそうだ。
また、20日のシカゴ日経225先物清算値は19135円だった。これにサヤ寄せするようだと、一目均衡表の遅行スパンは実線を割り込む確率が高まり、シグナルは悪化する。また、価格帯別出来高では19000-19300円辺りの商いが膨らんでいる水準を下回っており、今後戻り待ちの売り圧力が次第に強まる状況も想定される。
為替動向も重しになるだろう。米国の輸出増・輸入減によってドル需要が増加し、ドル高・円安が想定されるものの、保護主義的な政策への警戒感が勝るなか、一方向のドル高・円安には振れづらいと見る向きも多い。トランプ政権の方向性を見極めたいとのムードも根強く、1月下旬ごろトランプ大統領が今後1年間の施政方針を示す演説を議会で行う「一般教書演説」までは手掛けづらい相場展開になりそうだ。
その他、イベントとしては決算発表が本格化する。24日に日本電産<6594>、26日にはファナック<6954>、アドバンテスト<6857>の4-12月期決算が予定されている。円安による下期業績の上振れへの期待が市場参加者のコンセンサスとなっていることもあり、市場反応が注目されるところ。過度な決算期待の反動につながるような内容であれば、現在のこう着レンジからの突破には時間を要することになる。
その他、27日から2月2日まで、中国が春節(旧正月)のため休場となる。海外路線の拡充や大型クルーズ船の寄港回数が増えることでインバウンド消費も期待されそうだが、中国では昨年から関税の新課税制度が施行されており、高額消費は期待できない。また、汚職取り締まりなどの反腐敗運動が大々的に展開している影響も大きい。27日には三越伊勢丹<3099>が決算を予定しているが、決算内容がインバウンド関連の先行きを占うことになりそうだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は買いが先行し、ややしっかりとした動きとなる可能性がある。トランプ政権が正式に発足した。新政権に対する期待と不安が入り交じる状況となっているようだが、20日の米国株は強い動きを見せており、トランプ新政権に対する市場の期待は持続しているとみられる。
次期財務長官に指名されているムニューチン氏は19日に行われた上院指名承認公聴会で米国経済の成長や雇用対策などに言及するとともに「ドルの長期的な強さが重要」と発言した。新政権による景気対策を柱とした経済政策を市場が改めて評価すれば、ドル買いが先行するだろう。年初からの調整局面(ドル安)はひとまず終了する可能性がある
■来週の注目スケジュール
1月23日(月):全国スーパー売上高、月例経済報告関係閣僚会議など
1月24日(火):独製造業PMI、ユーロ圏製造業PMI、米製造業PMIなど
1月25日(水):貿易収支、独IFO景況感指数、米MBA住宅ローン申請指数など
1月26日(木):企業向けサービス価格指数、米新規失業保険申請件数など
1月27日(金):シャノン上場、米GDP速報値、中国 春節など
《TM》
提供:フィスコ