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【経済】NYの視点:米ベージュブック、年内利上げを後押し


米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)では、全米12地区のうち10地区の昨年末の経済状況が緩慢または緩やかな成長を続けたことが明らかになった。ボストン連銀が1月9日までの各地区の情報をもとにレポートをまとめた。成長継続を報告した地区は前回の7地区から増加。さらに、労働市場のひっ迫、賃金の上昇が指摘された。また、全12地区のうち8地区が緩やかな物価上昇を指摘。いくつかの地区は2017年も緩やかな一層の物価上昇を予想している。ベージュブックはFOMCの年内の利上げの軌道を正当化する結果となった。

製造業も全12地区のうち10地区が販売、需要増を報告、昨年の初めに比べて大きく好転した。消費も好調。クリーブランド、ミネアポリスは年末商戦が冴えなかったことを報告したが、消費者動向がオンラインに移行していることがいくつかの地区で理由として指摘された。新政権の政策では、メキシコからの商品を対象にした関税などへの脅威に特にメキシコとの国境に近いダラス地区などでビジネスの低迷が懸念されている。また、ヘルスケアでは、医療保険制度改革への不透明感から需要の低迷がサンフランシスコ地区などで指摘された。

このベージュブックは次回1月31日、2月1日に予定されているFOMCの材料となる。この会合では、12月に14年の12月に続き過去10年間で2回目の利上げを実施したのち、新政権が樹立後間近で政策も出揃わず不透明感も強く金融政策が据え置かれると見られている。2017年最初の利上げは3月と見られている。

12月連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で公表されたスタッフ予測で、メンバーが平均で2017年3回の利上げを予想していることが明らかになった。また、連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長はパネル討論会に参加し、経済が2つの責務において「最大雇用」や「2%インフレ」の目標達成に近く、自身やメンバーは年2,3回の利上げを予想していると、スタッフ予測の中間値を支持する見解を示した。また、FF金利誘導目標は2019年末までに長期中立3%に到達すると見ている。

《SK》

 提供:フィスコ

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