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【特集】「トランプ次期米大統領、ドル高けん制発言の真意」外為どっとコム総研・神田卓也調査部長に聞く!<直撃Q&A>

神田卓也氏(外為どっとコム総研 調査部長)
 18日の為替市場でトランプ米次期大統領の「ドル高けん制」発言が注目を集めた。中国人民元を意識し米ウォール・ストリート・ジャーナルに対して「ドルが強すぎる」と発言。20日に米大統領就任式を控えていることもあり警戒感が高まり、一時112円50銭台までドル安が進んだ。ただ、東京市場では113円前半に値を戻した。今回のトランプ発言の真意は何だったのか。また、米大統領就任式を目前に控え、今後の為替相場をどう見ればいいのか。外為どっとコム総合研究所・神田卓也調査部長に聞いた。

Q1 今回のトランプ氏のドル高けん制発言をどう分析していますか

神田 基本的に中国人民元を意識したうえでの発言であり、市場はやや過剰に反応したと思う。ドル指数は10数年ぶりの高水準にあるうえ、11日の記者会見でトランプ氏の暴言王としての側面が浮上した後だけに、より今回の発言が効いたのかもしれない。もしドル高けん制が明確に意識され、日本の対米貿易黒字を名指しで批判するようなことがあれば、ドルは110円を割り込むリスクもある。しかし、そこまでの円高には至っていない。市場は筋違いな方向に反応したように思える。ただ、トランプ氏が本気でドルを押し下げるような行動にいつ出るかは読めず、常に警戒感はつきまとう。このため、ドル独歩高は難しくなった。トランプ・ラリーはある程度、収束に近づいたと思う。

Q2 米大統領就任式が20日に迫っています。為替面からのチェックポイントは?

神田 マーケットは減税や規制緩和などの経済政策に、具体的に言及することを期待している。ただ、まだ閣僚人事の公聴会が終わっていない段階で踏み込んだ発言は期待しにくい。環太平洋経済連携協定(TPP)からの脱退は、すでに織り込んでいる。また、中国を為替操作国へ指定するという発言はいったん取り下げたようにみえる。そもそも、為替操作国への認定は議会が行うものであり、大統領権限でできるものではない。さすがに過激発言は控えられるだろう。大統領就任式は、どちらかと言えば、失望になりやすいイベントだと思うが、記者会見の際のようなショック状態には陥らないだろう。就任式では大きな方向感は出ないのではないか。

Q3 当面のドル円相場の見通しは?

神田 次のテーマとしては、米国の利上げに再度、焦点が当たると思う。3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)が近づくと再度、ドル高基調が再開するかもしれない。それまで今後、1カ月程度は、低迷しつつのもみ合い相場が続くと見ている。具体的には1ドル=111~115円前後のレンジ相場を予想する。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(かんだ・たくや)
外為どっとコム総合研究所、取締役、調査部長。1987年福岡大学法学部卒業。第一証券(現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券)を経て、1991年メイタン・トラディション入社。インターバンク市場での為替・資金・デリバティブなどの取引業務を担当し、国際金融市場に対する造詣を深める。2009年7月、同研究所入社。

出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)

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