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【市況】国内株式市場見通し:トランプ政権のメリット・デメリットで強弱感も

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

先週の日経平均は上昇。米国や中国の良好な経済指標や円安が好感されるなか、2017年大発会は大幅高で昨年来高値を更新。大発会では4年ぶりの上昇だった。また、翌日には2015年12月以来の19600円を回復するなど、トランプ政権への期待が高まった。昨年末は米株安や円高が嫌気され、3日続落で大納会を終えたが、節目の19000円はキープしたほか、年間では5年連続で上昇。5年連続はバブル崩壊後では最長であり、今年への期待が映る格好だった。ただ、大発会後はややこう着感の強い展開である。トランプ政権でのインフラ需要などの期待が根強い一方で、トランプ次期米大統領によるトヨタ自<7203>のメキシコ計画への批判など、トランプ政権へのマイナス面を警戒する動きもみられていた。

今週は雇用統計の結果を受けた米株式の動向のほか、為替動向を睨みながらの相場展開になりそうだ。また、11日にトランプ次期米大統領がNYで記者会見を行うほか、12日にはイエレンFRB議長が教育関係者向けタウンホールを開催する。トランプ氏はツイッターなどを通じた一方通行の意見表明を多用し、企業や金融市場に混乱を与えている。大統領選後は公の場での記者会見には応じていなかったため、市場の関心は大きい。またイエレンFRB議長については、米連邦準備制度に関しての講演だが、質疑応答で経済や見通し、金利動向に関する思惑につながろう。

6日の米12月雇用統計は非農業部門雇用者数が15.6万人増と予想(17.8万人増)を大きく下振れたが、一方で失業率が予想に一致したほか、平均時給が7年半ぶりの高水準となったことが好感された。この流れによりシカゴ日経225先物清算値は大阪比185円高の19585円となり、円相場は1ドル117円台とドル高・円安に振れており、買い先行の相場展開が期待されよう。

ただし、トランプ次期米大統領の記者会見を見極めたいとするムードから、戻り待ちの売り圧力も警戒されやすいだろう。ツイッター発言で直ぐさま制度が変わるわけではないが、記者会見においての発言ともなれば市場コンセンサスにつながる可能性もあり、積極的なポジション取りは控えられる可能性もある。トランプ政権に対するマイナス面を整理する必要もあるため、資金の流れにも変化が見られる可能性も意識しておきたいところである。

その他、米国ではJPモルガンなど金融機関の決算が予定されており、国内では小売セクターの決算が控えている。トランプ物色を意識しつつも、業績相場にシフトしやすいだろう。その他、家電見本市(CES)は終了するが、今週はデトロイト自動車ショーに関心が向かいやすく、EVのほか、自動運転車に関連するAIへの物色が意識されよう。日経平均は昨年来高値水準での強弱感対立となるようだと、物色の矛先は出遅れ感のある中小型株のほか、テーマ株等での値幅取り狙いに傾きやすいだろう。

もっとも、神経質になるものの、先高観は強く、需給状況も良好である。トランプ次期米大統領の就任が近づくにつれていったん達成感も意識されそうだが、依然として中小型株などは出遅れ感が目立っており、水準訂正の流れは意識されそうだ。また、節税対策の売り一巡から、米国の1月アノマリーによる上昇も期待される。押し目拾いのスタンスから下値の堅さは意識されることになりそうだ。

《FA》

 提供:フィスコ

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