【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:FOMC、日ロ首脳会談、日経平均2万円
NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより
■株式相場見通し
予想レンジ:上限19400-下限18900円
来週もトランプ相場の余波が続くと考えられるが、需給状況の変わり目でもあるため、物色対象の変化を見極めたいところである。11月第5週(11月28日~12月2日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家が4週連続で買い越した。先週の商いをみても海外投資家の買い越しは継続しているとみられ、海外投資家がけん引する相場展開が続いている。また、この1カ月の世界株の時価総額増加幅は2兆ドル(約226兆円)となり、債券の減少幅とほぼ同額だったようだ。債券から株式に資金シフトが強まっており、この持続を見極めるうえでも、13-14日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)に関心が集まる。
9日の米国市場ではトランプ物色が続いており、NYダウは最高値を更新し、シカゴ日経225先物清算値は19185円だった。この流れから週明けの日本株市場は買い先行の相場展開が見込まれる。ただし、メジャーSQを通過したこともあり、海外投資家の資金流入にも変化がみられる可能性がある。先週末のトヨタ<7203>やファーストリテイリング<9983>、メガバンクといったコア銘柄の積極買いなどをみても、一先ず買い切った感もある。
FOMCについては、足元の好調な米経済指標が利上げを後押しする格好となり、1年ぶりの利上げは織り込み済みである。為替市場では円安基調が強まることから、日本株市場は一段高が期待されてくる。ただし、米経済に対する安心感が高まるにつれて、2017年の利上げタイミングへの関心も高まってきている。利上げピッチが早まるとの見方となれば、さすがに米国市場は利益確定の流れに向かいやすい。また、海外勢のクリスマス休暇が意識されるため、先週のようなインデックス主導での強い値動きが続くかは見極める必要がある。
日経平均は節目の19000円回復で、いったんは達成感も意識されやすいところであろう。価格帯別出来高をみると、19000処で若干膨れているが、そこから上は少なく、チャート上でも節目の2万円辺りまではターゲットが無い状況。確かに先高観は相当強いと考えられるものの、海外勢の商いが細るようだと、これまでのようなピッチでの上昇は厳しそうである。
現在の水準から国内勢がコア銘柄を積極的に買い上がるとは考えづらく、コア銘柄集中の流れから割安銘柄を探る流れに向かいやすく、相対的に出遅れ感が意識されている中小型株に資金がシフトしてくるかが注目される。コア銘柄への資金集中によって日経平均の上昇ほど、個人投資家のセンチメントは明るくない可能性もあり、それ故に出遅れている中小型物色が強まるとみておきたい。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。米連邦準備理事会(FRB)は13-14日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で、昨年12月以来、1年ぶりの利上げに踏み切る公算。政策金利は現行の0.25%-0.50%から0.50%-0.75%へ引き上げられる公算。市場は0.25ポイントの利上げを完全に織り込んでいるため、FOMCの経済・金利予測が前回(9月)と同じ内容だった場合、リスク選好的なドル買いは拡大せず、利食い目的のドル売りが増える可能性がある。
前回(9月21日)公表のFOMC予測では、2017年末の政策金利(FFレート)の予測中央値は1.1%、2018年末は1.9%、2019年末は2.6%となっていた。今回公表される政策金利予測が9月時点での予測を上回っていた場合、早期追加利上げに対する市場の期待は強まりそうだ。その結果、ドル買いが優勢となる可能性は十分あると思われる。
■来週の注目スケジュール
12月12日(月):機械受注、工作機械受注速報、米財政収支など
12月13日(火):中鉱工業生産指数、独ZEW期待調査、米FOMCなど
12月14日(水):日銀短観、米小売売上高、イエレンFRB議長会見など
12月15日(木):日ロ首脳会談、独製造業PMI、米製造業PMIなど
12月16日(金):ユーロ圏消費者物価指数改定値、米住宅着工件数など
《TM》
提供:フィスコ