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【特集】ZMP関連炎上、どうなる自動運転テーマ株、そして全体市場への影響は?

アイサンテク <日足> 「株探」多機能チャートより
9日の東京株式市場では、取引開始前からある種異様なムードが漂っていた。いうまでもなく東証1部市場はトランプラリー真っ只中で、売り方の買い戻しラッシュとなる超強気相場が繰り広げられているが、個人投資家の土俵である新興市場は必ずしもそうではない。東証マザーズでは12月に入り全般相場が軟化、前日までマザーズ指数は6日続落と売り物に押されていた。

 そうした変調地合いが示唆していたかのように、8日取引終了後に青天の霹靂ともいえるネガティブ材料が噴出した。大物IPOとして鳴り物入り登場となるはずだった自動運転ベンチャー、ZMP <7316> が12月19日に予定していた東証マザーズへの新規上場を延期すると発表したことが市場関係者の驚きを誘った。顧客の個人情報の流出問題を理由にIPO延期、まさにきょう9日には公開価格が決定する予定だった。11月29日に仮条件が760~1040円で決定していたが、上場後に時価総額は1000億円近くにまで膨らむとの見方も出ていただけに、そのインパクトは大きいものがある。

 8日夜以降の私設取引でZMPに出資もしくは協業体制にあった関連銘柄の株価は軒並み暴落しており、これが取引開始前の異様なムードの正体だ。場が始まると同時に投げ売り状況に陥った。同社への出資で10月下旬から大きく水準を切り上げていたフューチャーベンチャーキャピタル <8462> はその反動もあって売り気配で値幅制限下限に張り付く展開となり、アートスパークホールディングス <3663> も同様にストップ安売り気配で推移したほか、テクノスジャパン <3666> 、アイサンテクノロジー <4667> 、マクニカ・富士エレホールディングス <3132> 、ジャフコ <8595> 、ドリームインキュベータ <4310> 、JVCケンウッド <6632> など軒並み売り注文が殺到する“炎上状態”となった。

 市場関係者の声では「昨年来、上場観測だけが独り歩きしてなかなか実現しなかったところに今回ようやくということで、市場には待ち望んだムードもあったが、主幹事証券の変更観測などブラックな要素がなかったわけではない。ここにきての上場延期は寝耳に水だっただけに、来週月曜日くらいまでは尾を引きそうだ」(国内ネット証券大手)との見解を示している。

 もっとも、蓋を開けてみて、良い方向に想定が外れた部分もある。それは、東証マザーズ指数が7日ぶりに反発に転じたことだ。これについては「ZMP上場で400~1000億円くらいの資金が吸収されることから需給悪化要因として、マイナス視する向きもあった。今回の上場延期はそれがなくなったということで、関連銘柄以外にはポジティブに働いた。他のIPO関連に悪影響が飛び火することもなさそうだ」(同)という。

 関連銘柄の中にも売り一巡後は下げ渋る銘柄も散見される。自動運転関連ではゼンリン <9474> やザインエレクトロニクス <6769> は朝安後プラス圏に切り返している。また、ZMPと「ロボットタクシー」を設立しているディー・エヌ・エー <2432> などは先に株価面で悪目を出していたこともあってか、寄り付きこそ安かったものの、その後は大きく切り返し一時200円高の3430円まで買われる場面があった。

出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)

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