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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「消えたトランプ・リスク」

株式評論家 富田隆弥

◆「やっぱりダメだ」「だから言ったんだ」「どうしようもない」…そんな嘆きが世界中から漏れる日がやってくるかもしれない。

◆先週の米大統領選は「世紀の番狂わせ」となり、世界中がトランプ氏の話題で持ちきりになった。マーケットは大統領選の開票が進むにつれトランプ・ショックで大揺れとなり、日経平均株価は一時1059円安、NYダウ先物も一時1万7479ドルまで急落した。だが、トランプ氏勝利が確定した夕方になると先物が底打ち反転、日経平均もNYダウ平均株価もそこから上昇を強め、為替(ドル円)も101円台から急上昇。10日の日経平均は1092円高の1万7344円となり、前日のショック安をすぐに取り戻し、そしてNYダウも大きく続伸し、8月に付けた過去最高値1万8668ドルを更新した。

◆株式市場の急上昇を受けて、市場からは「トランプ高評価」が相次ぐ。勝利宣言は異端児のイメージから一転、優等生のような言葉が並び、上下院のねじれ解消で「政策運営が円滑に進む」、「景気刺激策が進む」とも言われている。だが、数日前まで騒いでいたトランプ懸念は何処へ行ったのだろう。米国優先主義、独裁主義者、マイノリティーや女性への差別・偏見などに対する懸念はもう払拭されたのだろうか。

◆日経平均もNYダウも為替も、チャートは弾みをつけ一気に好転を鮮明にした。日経平均は4月高値1万7613円から2月高値1万7905円を目指す流れとなり、NYダウの週足は三段上げに入ってきた。株式市場が上昇するのは大いに結構。自分も大歓迎で、ここは「流れに従う」ところだが、為替も含め「トランプ・フィーバー」が一巡すると、行き過ぎの反動が出やすいことを注意しておかねばならない。

◆9日からの記録的な乱高下はコンピューター売買のアルゴリズム(HFT)が主導した可能性が否めない。そうであるなら、記録的な乱高下が再び起きることも否めず、トランプ氏の言動をキッカケにそれが起こる可能性もある。オバマ大統領誕生からNYダウは8年近く上昇を続け、そして地政学的リスクを帯びた大統領にバトンタッチする。12月は利上げが有効なFOMCも控える。チャートは冒頭の嘆き声が出ることを懸念しているように映る。

(11月10日 記、毎週土曜日10時に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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