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【特集】自動車“軽量化”急務で注目の「マルチマテリアル」、各社取り組み <株探トップ特集>

神戸鋼 <日足> 「株探」多機能チャートより

―パリ協定発効で迫られるCO2削減、自動車業界「切り札」となるか―

 2020年以降の地球温暖化対策の新たな国際的枠組みである「パリ協定」が、11月4日(日本時間)に発効した。同協定は、20年までの枠組みである京都議定書に代わるもので、途上国を含む全ての国に温室効果ガス削減の取り組みを義務付けている。

 パリ協定発効により環境問題への意識が高まるなか、日本の総エネルギーの20%程度を消費している 自動車についても排ガスに含まれる二酸化炭素の削減が急務となっている。自動車業界では現在、燃料電池車や電気自動車など脱ガソリンエンジン車の開発を進めるのと同時に、ガソリン車の燃費改善につながる軽量化への取り組みを強めているが、その解決方法の一つとして注目されているのが、マルチマテリアル(複合素材)である。

●環境規制の厳しい欧州が先行

 マルチマテリアルとは、一つの部材に複数の素材を使うという技術。異なる金属や素材を併用・接合することで材料特性を改善し、高強度化や軽量化の実現を目指している。

 既に実用化されているものとしては鋼材を発展させた超高張力鋼板(ハイテン)などがあり、軽量化を求めるハイブリッド車などに使用されている。現在ではさらにハイテンやアルミニウム、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)などを組み合わせる動きが広がっている。

 特に、環境規制の厳しい欧州ではマルチマテリアル化の動きが加速している。独BMW社では、CFRP製キャビンとアルミ合金製アンダーボディーを組み合わせた電気自動車の「i3」を13年に他社に先駆けて量産車に投入。独ダイムラーも14年7月にモデルチェンジしたメルセデス・ベンツ「Cクラス」で、独自の異なる材料を接合する技術を用い、アルミ合金の使用を増やしている。

●日本はハイテンが主流

 日本でも、トヨタ自動車 <7203> が限定生産した「レクサスLFA」にCFRPを使用したほか、燃料電池車の「ミライ」にCFRP製の水素タンクなどを採用したが、多くはハイテンの利用増で軽量化に対応しているのが現状だ。

 ただ、ハイテンによる軽量化には限界があるとの見方は業界内では一般的。欧州委員会が、欧州市場で販売される車両が排出するCO2の量を平均で走行キロあたり95グラム以下に抑えることを義務づける、いわゆる「2020年問題」を控えて、世界的にも単純に鉄からアルミや炭素繊維へ置き換えるだけでなく、マルチマテリアルへと舵が切られている。

●神戸鋼ではいち早くマルチマテリアルに対応

 こうした流れを敏感に感じ取っているのが、 鉄鋼メーカーだ。ハイテンの一段の高強度化を図る企業がある一方、神戸製鋼所 <5406> では、従来は難しかったハイテンとアルミ材の効率的な接合ができる技術を開発。これにより、ボディー重量を従来から2割程度削減できるとして、自動車メーカーに提案している。

 社内的にも14年に設置した「マルチマテリアル構造接合研究室」の人員を15年の15人前後から数年で25人前後に増やす方針で、売り込みに成功すれば、20年にも同社の部材を使った自動車が登場する見通しだ。

 また、CFRPで東レ <3402> としのぎを削る帝人 <3401> は9月、自動車向けの樹脂部品加工を得意とする米国のコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(CSP)社を買収すると発表した。CSPのガラス繊維強化樹脂(GFRP)と、帝人のCFRPを組み合わせてマルチマテリアルの動きに対応する考えだ。

●結合技術でジーテクト、三井化学などにも注目

 このほかにも、鉄とアルミを溶接する技術「TSW」を開発したジーテクト <5970> や、CFRPとアルミなどをレーザーで接合する新工法を開発したパナソニック <6752> 、さらには、金属と樹脂を結合させ、ハンドル機構部品を開発した三井化学 <4183> などもマルチマテリアルに関連した技術として注目を集めそうだ。

 また、金属と樹脂を直接接合させる金属表面処理技術「アマルファ」を有するメック <4971> や、材料の評価や加工部材の検査などでマルチマテリアル化を支援する明治電機工業 <3388> などへの関心も高まろう。

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