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【市況】S&P 500 月例レポート ― 米国マーケット、「大虐殺の10月」は免れたものの… (8) ―


(7) から続く。

●投資家が押さえておくべきポイント (1)

 10月の重要ポイントは以下の通りです。

→S&P 500は10月に1.94%下落し、2,126.15で取引を終えました。年初来ではなお4.02%の上昇となっていますが(配当込みのトータルリターンはプラス5.87%)、2016年8月15日の史上最高値からは2.92%の下落となっています(同マイナス2.55%)。

 ○原油価格は9月の48.05ドルから2.8%下落し、46.70ドルで取引を終えました。

 ○金価格は9月の1,318.80ドルから3.0%下落し、1,278.90ドルで取引を終えました。

 ○英ポンドは対ドルで9月の1.2976ドル(国民投票前は1.5ドル)から1.2244ドルに5.6%下落しました。ユーロは対ドルで9月の1.1240ドルから1.0982ドルに2.3%下落しました。

 ○米国10年国債利回りは11月のFOMCを控え、9月の1.60%(2015年末は2.27%)から1.83%に上昇しました。ただし、11月のFOMCでは政策の変更はないと予想されています。

 ○VIX恐怖指数は9月終値の13.29から28.4%上昇し17.06で10月を終えました。

 ○S&P500構成銘柄の時価総額の70%に相当する企業が第3四半期の決算発表を終えた段階で、利益、売上高ともに市場予想をしっかりと上回る結果となっています。第4四半期のEPS予想も従来の水準が維持されており、第4四半期は過去最高益が見込まれます(予想が達成されればの話ですが)。

→大統領選の第2回、第3回討論会では勝者がはっきりとしました。ただし、それは皆さんが話している人次第ですが、米国の有権者が勝者でないことは間違いありません。

 ○選挙まであと一週間となった現時点でも、市場は依然としてクリントン候補(民主党)の勝利を予想しています。また、下院では共和党が過半数を維持するものの議席を減らすと予想されており、上院も共和党による過半数維持との見方が大勢となっていますが、両党の議席数が互角、あるいは民主党が過半数を獲得すると予想する向きもあります。

  ●WikiLeaksによる情報公開やクリントン候補の私用メールをめぐる問題で新たなメールが浮上したことにより、選挙の行方には依然として大きな不透明感があります。

  ●市場の見方に変化が生じた場合、急速な資産配分見直しの動きが生じる可能性があり、特にヘルスケア関連と貿易関連銘柄では大きな動きが予想されます。

  ●トランプ候補が予想外の勝利を収めた場合にも急速な資産配分見直しの動きが見込まれ、11月9日の寄り付きでは注文の不均衡が生じる可能性があります。

 ○11月9日、誰かは「大統領再選委員会」のメンバーに登録されることになるでしょう。

 ○個人的には次のようなことを考えています。

  ●「どうしたって、私たちは道に迷うことになる。ジョー・ディマジオ、君はどこへ行ってしまったんだ?国中があなたに目を向けている・・・」(サイモン&ガーファンクルの「ミセス・ロビンソン」の一節)

  ●人事部への問い合わせ:11月9日は体調不良で会社を休みそうなのですが、その場合、疾病休暇の扱いになりますか、それとも有給休暇の消化でしょうか?

→英国のメイ首相は2017年3月末までにEU離脱を正式に通告し、2019年の離脱完了を目指す方針を発表しました。

 ○EUとのゲームが開始され、ドイツのメルケル首相やフランスのオランド大統領が交渉に関して強硬な発言を行っています。

→政治を除けば(それが現実の世界のものであれ、「Saturday Night Live」のようなコメディ上のものであれ、大差はないようですが)、企業決算が大きな材料となりました。これまでに(10月31日の日中時点)決算発表を終えたS&P500構成企業306社のうち利益が予想を上回った割合は73%と、過去平均の67%を上回っています。売上高も予想よりも好調で、55%の企業で予想を上回っており、活発な個人消費が期待されています。

 ○利益と売上高の両方に回復が見られ、現在のバリュエーションの下支え要因となっています。

 ○バリュエーションという点では、動画配信大手のNetflix(NFLX)の株価は、決算が予想を上回ったことに加え、より重要な点として、海外の契約者数が大幅に伸びた点が好感され、10月は26.7%上昇しました(337倍という株価収益率(PER)はほとんど無視されました)。

※「米国マーケット、「大虐殺の10月」は免れたものの… (9) 」に続く。

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