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【市況】S&P 500 月例レポート ― 米国マーケット、「大虐殺の10月」は免れたものの… (5) ―


(4) から続く。

●M&A、Twitterに「花婿」現れず

 M&A関連では、英国の投資会社Henderson Group Plc(HNDGF、10月は2.0%高)が、同業のJanus Capital(JNS、同8.5%安)を株式交換方式により約26億ドルで買収すると発表しました。未公開会社でアウトドア用品を販売するBass Pro Shopsは、同業のCabela’s(CAB、同12.2%高)を45億ドルで買収することで合意しました。損害保険を扱う日本の損保ホールディングスは、同業のEnduranceに対して63億ドルでの買収を提示しました。工具メーカーのStanley Black & Decker(SWK、同7.4%安)は、日用品大手Newell Brands(NWL、同8.8%安)の工具部門を19億5,000万ドルで買収すると発表しました。

 通信サービス大手のAT&T(T、同9.4%安)は、メディア大手Time Warner(TWX、同11.8%高)を現金と株式の合計830億ドルで買収すると発表しました。AT&Tは2015年にも衛星放送大手のDIRECTVを485億ドルで買収しています。今回の買収は当局による調査の対象となり、複雑化と長期化を懸念する声も聞かれます。

 英国のたばこ大手British American Tobacco(BTI、同10.0%安)は同業のReynolds American(RAI、同16.8%高)に対し、未保有分の58%の株式取得を提案しました。航空通信システムを手掛けるRockwell Collins(COL、同横ばい)は、航空機の内装を製造するB/E Aerospace(BEAV、同15.2%高)との合併をめぐって同社と交渉中と報じられました。買収額は65億ドルと推定されています。デジタル通信機器メーカーのQualcomm(QCOM、同0.3%高)は、半導体メーカーのNXP Semiconductor(NXPI)を390億ドルで買収することで合意しました。このニュースを受け、NXPIの株価は月間2.0%上昇しました。

 通信会社のCenturyLink(CTL、同3.1%安)は、同業のLevel 3(LVLT、同21.1%高)を250億ドルで買収すると発表しました。General Electric(GE、同1.8%安)は、油田サービス大手Baker Hughes(BHI、同9.8%高)を買収して自社の石油・ガス事業と統合させる計画を明らかにしました。GEはBaker Hughesの株主に対し、17.40ドルの特別配当(総額74億ドル)を支払う予定です。

 一方、合意しなかったM&A案件として、祭壇で待つ花嫁の元に花婿が現れないという珍事が起こりました。花嫁はソーシャルメディア大手のTwitter(TWTR、同22.2%安)で、予想されていた花婿はソフトウェア大手のSalesforce.com(CRM、同5.4%高)です。通信会社Verizon(VZ、同7.5%安)はインターネット検索大手のYahoo!(YHOO、同3.6%高)の中核資産の買収について、ハッキングによりYahooの5億件のユーザーアカウント情報が流出したことを受け、買収額を48億ドルから10億ドル引き下げる意向であると報じられました。

 個別銘柄のニュースとしては、メッセージアプリSnapchatを運営するSnapが、時価総額250億ドル規模の新規株式公開(IPO)を目指していると報じられました。建設機械大手のCaterpillar(CAT、同6.0%安)は、最高経営責任者(CEO)が2016年末で退任すると発表しました。同社はここ数年、現CEOの元で拡大・成長してきましたが、機器の売上高は落ち込んでいます。動画配信大手のNetflix(NFLX、同26.7%高)は予想を上回る決算を発表しました。海外の契約者数が予想以上に伸びていることで成長が見込まれます。コーヒーチェーン大手のStarbucks(SBUX、同2.0%安)は、中国で今後5年間に新たに5,000店舗を出店する計画を明らかにしました。電気自動車メーカーのTesla Motors(TSLA、同3.1%安)は、自動運転に必要なハードウェアを全ての自社製品に搭載する方針を明らかにしました。

 カリフォルニア州の司法当局は、Wells Fargo(WFC、同3.9%高)による架空口座開設問題に関する調査に乗り出しました。John Stumpf CEOは同社のCEO職に加え、Chevron(CVX、同1.8%高)とTarget(TGT、同0.1%高)の取締役も辞任しました。インターネット通販大手Amazon(AMZN、同5.7%安)は、地元密着型のコンビニエンスストアを導入することで食品・日用品事業を拡大する計画や、年末商戦時には12万人を臨時に雇用することを明らかにしました(決算発表は予想を下回りました)。製薬会社のMylan NV(MYL、同4.2%安)は、EpiPenの価格設定問題をめぐり、4億6,500万ドルを支払うことで米司法省と和解しました。同日に、同社の時価総額は16億ドルに増加しました。

 韓国のSamsung Electronicsは、GALAXY Note 7の生産と販売の無期限中止を決めました。製薬会社のBristol-Myers Squibb(BMY、同5.6%安)は、新たな肺がん治療に関するCheckmate-026臨床試験で効果が見られず、株価が下落しました。

※「米国マーケット、「大虐殺の10月」は免れたものの… (6) 」に続く。

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