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【経済】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆核心・中国の出方◆


〇企業決算、中国の影響無視できず〇

週明け、第2四半期決算発表は一気に佳境となってきたが、意外感は中国ビジネスの影響。ホンダが「堅めの計画」としつつ上方修正を行ったが、背景は中国での新型シビックの好調(中国販売は暦年で107万台から118万台に上方修正。この秋、北京や天津では大気の重度汚染警報が出され続けている。景気対策で小型車減税が行われているが、環境性能の高い日本車が人気になっていると思われる)。三菱電機も上方修正を行ったが、中国を中心とした空調の外貨ベースでの拡大(上期の中国事業は8%減収だが、為替を除くと実質8%増収。空調に加えFA関連、自動車向け、パワー半導体などが伸びていると言う)。村田製作所は下方修正を行ったが、中国系スマートフォン向けは現地ベースで2割程度の伸び。

大きな流れは、海運会社のコンテナ船3社統合、3社揃って下方修正、経常赤字転落にみるように、中国の負の影響が大きい。直接的でなくとも、新興国やアジア経済減速の影響として跳ね返る。現地ビジネスの政治リスクは高い。「爆買い」(国内だけでなく、香港や台湾、韓国などで激減)のように波は一気に来て一気に引くリスクもある。中国からの離脱ムードも依然強い。日本企業は一定の距離を置きつつ、静かに足場を固めている印象がある。期待値として織り込むことは難しいが、足元を見つつ、株価に織り込んでいく流れと受け止められる。

現在の焦点は、「核心」となった習主席が経済政策でも主導権を握り、国営企業改革や国内経済の安定軌道をどう舵取りして行くか。六中全会の翌日、28日に異例の経済会議を開催、金融政策は「穏健な政策を堅持し、流動性を合理かつ充分に保つと同時に資産バブルの抑制を重視し、経済・金融リスクを防ぐ」方針が示された。ロイターが算出した9月新築住宅価格(主要70都市)は前年同月比11.2%上昇し、過去最大の伸びとなった。7?9月期住宅販売額は前年同期比43.2%増。人民元がSDR入りして1ヵ月、対ドルで6年ぶりの安値にある(31日は1ドル6.77近辺の攻防。リーマン危機後に一時固定された6.83元を上回り、7元台に向かうか注目されている)。バラマキ型に近い公共投資増で国営企業を支える構図だ。資産バブル抑制、ゾンビ企業退治が前面に出て来る可能性がある。

各論ベースの断片的報道(習主席主導か、李克強首相の国務院の巻き返しかは現時点では不明)では、シャドーバンキング規制強化、国有企業の債務株式化、民間企業への事業開放、貧困層の移住計画(2020年までに14兆円超投資、1000万人の脱貧困を目指す)などが出ている。各論ベースでの進行具合を見ることになろう。同時に、中国経済の影響が大きいシンガポール(債務過多企業が増加、経営不安説が増えている)、香港(9月から一転、本土マネー流入が急速に細っている)などの連鎖的な動きを注視することになろう。


以上



出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(16/11/01号)

《WA》

 提供:フィスコ

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