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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「雲行き怪しい11月」

株式評論家 富田隆弥

日経平均株価は11月1日に1万7473円の高値を付けたが、翌2日に307円安の1万7134円(ザラバ安値1万7080円)と急落した。サイコロジカルラインや騰落レシオ、RCIなどテクニカル指標が過熱を強めていただけに「当然のスピード調整」だろう。チャートの25日移動平均線(1万7003円)や75日平均線(1万6767円)、52週平均線(1万7007円)の上で推移していることから、市場からは「上昇基調に変わりなし」との声も多く聞こえてくる。だが、日足では9月27日安値(1万6285円)と10月14日安値(1万6727円)を結ぶ下値抵抗線を割り込み、陰転の第1信号を灯した。また、テクニカル指標の過熱解消には少し時間を要すことから、この急落は侮れない。

◆また、この急落にはいくつかの懸念が生じる。例えば、10月相場の上昇は10月25日に上場した「JR九州 <9142> 」を成功させるため証券界の尽力、地合い作りがあったのではないか。昨年11月4日に「郵政3社」が上場したが、そのときも9月29日を下値に日経平均は12月1日までテクニカル指標の過熱をよそに上げ続けた。そして、今年の10月もその時を彷彿させるような展開になった。また、「日銀会合のあと売りが入る」というアノマリー(経験則)も続いた。

◆そして、見逃せないのはNYダウ平均の軟調。11月2日現在、5日続落で1万7959ドル引けとなり、1万8000ドル大台を割り込んで4ヵ月ぶり安値水準にきた。1万8000ドル水準は中期波動のネックラインで大きなポイントだ。早々に反発してクリアするなら問題はないが、1万8000ドルを明確に割り込むようだと「中期的トレンド陰転」として警戒せねばならない。

◆11月2日のFOMCは市場の予想通り政策を据え置いたが、12月FOMC(13-14日)での利上げを改めて示唆した。そして、11月8日には大統領選挙を迎える。オバマ誕生からNYダウは8年間上昇を続けてきたが、こんどは「最低か、最悪か」と言われる新大統領が誕生する。マネーゲームの行き過ぎが懸念される中で新大統領にバトンが渡り、8年間の上昇相場に亀裂を入れることは否定できず、その意味でNYダウの「1万8000ドル割れ」は要注意となる。

◆11月2日現在、英国FT指数は3日続落、ドイツDAXは4日続落でともに75日平均線を割り込んできた。シカゴCME先物は1万7015円引け。当面の日経平均の下値メドは75日平均線や一目均衡表の「雲」上限(1万6637円)を想定するが、NY次第で「同時株安」リスクが台頭することを覚悟しておきたい。

(11月3日 記、毎週土曜日10時に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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