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【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:米大統領選、決算発表後半のヤマ場、中国貿易統計

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■株式相場見通し

予想レンジ:上限17300-下限16400円

来週の市場の最大の関心事は大統領選となる。トランプ氏が大統領に選出されれば、不確実性は大幅に増大し、不確実性に直面した投資家はリスク資産への投資を控える。トランプ氏勝利の可能性が高まれば株価が下落し、逆に可能性が下がれば株価は上昇する傾向にある。一方で、ヒラリー氏は規制拡大と富裕層などへの増税、歳出増を訴えており、投資家にはあまり歓迎されていないが、トランプ氏の政策よりリスクは低いとみられている。
週末の米雇用統計については、非農業部門雇用者数が16.1万人増となった。予想(17.5万人増)を下回ったものの、年内利上げに影響を与えるほど弱い内容ではないとの見方に。また、ISM非製造業指数における雇用は53.1と、9月の57.2から低下していたこともあり、ADP雇用報告の結果とあわせて、予想を下回る可能性は想定されていた。

まずは選挙結果を見極めることになろうが、市場はトランプ氏勝利を想定したポジション修正を急速に強めており、ポジョン圧縮のなか、足元の調整は避けられそうになさそうだ。ただし、波乱を想定した急ピッチの調整によって、例えトランプ氏勝利となったとしても下げは限定的となる可能性はあるのではないか。楽観視する訳ではないが、英国のEU離脱問題(ブレグジット)の時も、予想外のなかで波乱展開(日経平均は9%を超える下落)とはなったが、その後は早い段階でアク抜けに向かった。当初の予想通り、ヒラリー大統領誕生となれば、いったんは修正リバウンドが意識される。

なお、実際の投票結果が報じられるのは、インディアナ州やケンタッキー州の一部で投票が締め切られる東部標準時の午後6時(日本時間9日午前8時)からとなる。先週の日経平均の下落率は3%程度だったが、下へのバイアスが強まったとしても16500円辺りがボトムとなり、次第に市場は落ち着きをみせてくることになりそうだ。

結果判明後は米国の年内利上げについて関心が向かうことになろうが、こちらも不透明である。12月利上げがコンセンサスだが、これも大統領選の結果次第といったところ。市場は年内利上げなしを織り込む流れに次第に向かう可能性も意識しておく必要がありそうだ。

その他、今週は決算発表後半のヤマ場を迎え、1400社強の企業決算が予定されている。通期予想の上方修正はもとより、自社株買いのほか、M&Aの動きもみられており、市場はこれを評価する流れとなっている。ただ、米大統領選への不透明感から積極的な売買が手控えられていたこともあり、改めて見直しの動きが強まる可能性はある。ソフトバンクグ<9984>、トヨタ<7203>など市場の方向性にも影響を与える企業の決算が予定されているため、市場の関心は高い。

その他、経済指標では8日に中国の貿易統計(10月)、9日に中国の消費者物価指数(10月)、中国の生産者物価指数(10月)が予定されている。9月の貿易統計では輸出の大幅減で中国リスクが再認識され、株安、円高につながっていたため、改善がみられるかが注目される。



■為替市場見通し

来週のドル・円はやや堅調推移か。市場関係者の過半数は、8日に行われる米大統領選でクリントン候補が勝利し、12月利上げを見込んでドルはやや強い動きを見せる展開を予想しているようだ。ただ、連邦捜査局(FBI)による私用メール問題の捜査再開を受け、直近の支持率調査では共和党トランプ候補がクリントン候補を上回るケースも散見されている。

大統領選挙の勝敗は予測困難となりつつあり、市場参加者の多くは結果判明を待つ状況となりそうだ。実際の選挙で大きな問題が生じなければ、日本時間9日午後には大勢が判明すると予想されており、それまではドル・円を含めた主要通貨の為替取引は動意薄の状態が続くとみられる。

クリントン候補が大統領選を制した場合、米連邦準備制度理事会(FRB)による12月利上げを織り込む動きになるとの見方が多い。大統領選の結果判明までリスク選好的なドル買いは抑制される可能性が高いが、クリントン候補が勝った場合、ドル買い安心感が高まり、ドルは急上昇する可能性がある。

ただし、予想に反してトランプ候補が勝った場合、一部の市場関係者は世界的な規模で市場が混乱する可能性があると指摘している。リスク回避の動きが急速に広がり、円急騰の相場展開もあり得る。ドル・円は100円付近が当面の下値目途になるとみられているが、状況によってはこの水準を下回る円高・ドル安となる可能性がある。



■来週の注目スケジュール

11月 7日(月):金融政策決定会合議事要旨、独製造業受注、ユーロ圏小売売上高など
11月 8日(火):米大統領選挙、独貿易収支、英鉱工業生産指数、中貿易収支など
11月 9日(水):景気ウォッチャー調査、米卸売売上高、中消費者物価指数など
11月10日(木):機械受注、都心オフィス空室率、米新規失業保険申請件数など
11月11日(金):第3次産業活動、独消費者物価、米ミシガン大学消費者信頼感指数など

《TM》

 提供:フィスコ

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