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【経済】NYの視点:FOMC依然利上げに慎重、12月会合での利上げ明言避ける


米連邦準備制度理事会(FRB)は1日から2日にかけて開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25-0.50%のレンジに据え置くことを決定した。注目された声明ではインフレ判断を、「年初以降、いくらか上昇した」と、前回の「依然中期目標の2%を下回っている」から上方修正した。前回の声明で示された「短期的にインフレは低水準で推移する」との文言も削除。FOMCは特にインフレの低迷を懸念してきたため、12月に利上げに踏み切る条件は一段とそろったといえる。

労働市場は「引き続き強まった」、経済活動は「年前半の緩やかなペースから加速」との判断で前回と変わらず。企業の設備投資も「依然弱い」との見通しを維持。また、「経済見通しリスクは概ね均衡」と繰り返したことは利上げが近いことを示唆。さらに、「利上げの根拠は引き続き強まった」との言及などはタカ派的な言及とされ、次回の利上げ観測を強めた。

一方で、ハト派要因としては、第1に.消費の判断が、「強い成長」から「緩やかに拡大」へいくらか下方修正されたことが挙げられる。第2に、今回の会合での反対票が2票と、前回3票から減った。カンサスシティ連銀のジョージ総裁とクリーブランド連銀のメスター総裁の2名が前回に続き利上げを主張し反対票に投じたが、前回反対票に投じたボストン連銀のローゼングレン総裁は今回は据え置き決定を支持。ローゼングレン総裁は事前の講演で、FOMCは金融政策決定において政治を考慮することはないが、選挙結果次第で見通しに影響を与えかねないため、11月会合では政策据え置きが最善かもしれないと言及していた。大統領選挙という特別要因が影響しただけで、12月にはまた、利上げを支持する可能性もある。

第3に、利上げに関して「根拠は引き続き強まった」にとどめ時期に言及しなかった。市場は12月の利上げを明確にするため、「次回の会合で」との文言が加えられると期待していた。昨年の12月にFOMCがほぼ9年ぶりの利上げに踏み切る直前10月のFOMC声明では、「「次回会合で」利上げが適切かどうか決定する」と時期を明確にしていた。FOMCが依然かなり慎重な姿勢にあることがあらためて表明され、ドル買いの勢いも萎える。

■判断変わらず
*労働市場「引き続き強まった」
*経済活動は「年前半の緩やかなペースから加速」
*「経済見通しリスクは概ね均衡」

■タカ派へ傾斜
*インフレ判断引き上げ
*利上げの根拠は引き続き強まった

■ハト派へ傾斜
*2メンバーが反対票、前回9月会合の3メンバーから減少
*利上げの時期言及なし
*消費の判断若干下方修正

《NO》

 提供:フィスコ

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