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【特集】いよいよ上場!JR九州のIPOをフィスコが分析


■九州旅客鉄道(JR九州)<9142>
・市場区分:東証1部、福証
・主幹事:野村證券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、JPモルガン証券、SMBC日興証券
・売出価格:2600円
・売出株数:国内1億2000万株、海外4000万株
・売出額:4160億円
・上場時時価総額:4160億円
・上場日:10月25日(福証は26日)

九州全域を中心に、運輸サービス、建設、駅ビル・不動産、流通・外食及びその他事業を展開する。鉄道事業では新幹線1路線を含む計22路線を運営し、13年に運行開始したクルーズトレイン「ななつ星in九州」で知られる。ただ、外部売上高における運輸サービスの割合は47%(16年3月期実績)で、東日本旅客鉄道<9020>及び西日本旅客鉄道<9021>の6割強と比べ収益の多角化が進んでいる。「JR博多シティ」など九州主要都市の一等地に不動産を有する点なども強みとして挙げられる。

業績面について、17年3月期は売上高が前期比0.2%増の3788億円、経常利益が同67.0%増の535億円と増収増益の見通し。「平成28年熊本地震」の影響が見込まれるものの、前期に経営安定基金を取り崩し、鉄道事業固定資産の減損処理や九州新幹線貸付料の一括前払い等を行ったことにより、鉄道事業の収支は大きく改善する見込み。公開価格の今期予想PERは10.9倍で、JR東西や私鉄株と比較して割安感が意識されている。配当は連結配当性向30%程度を目安としており、今期は上場から期末までの約半年分との位置付けで1株当たり37.50円を予定している。予想配当利回りは1.4%、年率換算で3%近くになる。

前述したバリュエーション面での割安感や配当、株主優待といった株主還元策で新規投資家を含む幅広い層の関心を集めている。また、いわゆる「三島会社」に位置付けられる同社の事業環境は沿線人口の減少など厳しさを増すと考えられるが、インバウンド効果や収益多角化の推進による業績成長に期待する向きも多いようだ。

公開価格は、仮条件(2400円~2600円)の上限である2600円で決定した。売出額4160億円と今年最大のIPO案件となるが、ブックビルディングの積み上がりは順調と観測されており、最終的に個人投資家15倍、機関投資家10倍、海外15倍程度の需要を集めたもよう。ブックビルディングの抽選に外れた投資家に加え、需要堅調とみた短期投資家や機関投資家の初値買い参加も見込まれる。一部報道によれば、グレーマーケット(上場前の株式が取引される市場)では公開価格を上回る2800円-2850円で取引が行われているようだ。

※なお、フィスコによるJR九州の初値メドや初値予想は、ヤフーファイナンスストア内の「IPOナビスタンダード」にて提供(有料)している。

《TM》

 提供:フィスコ

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