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【特集】高橋春樹氏【決算本格化目前、秋相場のシナリオを読む】(3) <相場観特集>

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

―続く閑散相場、東京市場の風景はどう変わる―

 東京株式市場は、相変わらずの閑散商状ながら日経平均株価は底堅い動きをみせている。1万7000円台回復からの強調展開を期待したいのはヤマヤマなれども、企業の上期決算発表本格化を前に警戒感も拭い切れないのが現状だ。秋相場深まりゆくなかで東京市場の風景はどう変わっていくのか? 相場見通しに定評のあるマーケット関係者3氏にその読み筋を語ってもらった。

●「オイルマネーの日本株回帰、鍵握る原油価格動向」

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

 17年3月期第2四半期累計(4-9月)決算は、一言でいえば“外国為替市場での円高進行に伴う採算悪化を織り込んで輸出関連企業を中心に通期業績の下方修正が目立つ”ということになるだろう。ただし、既に株価にかなり織り込まれている部分もあり、下落幅は限定的となりそうだ。来年の1-3月が企業業績の底と想定すれば、株価の6ヵ月程度の先行性から判断して、足もとが底打ち場面となる可能性もある。

 今年に入って日本株式市場の投資主体別の需給動向を大まかにみると、“中東系オイルマネーのソブリンファンドなどによる売りを、日銀の上場投資信託(ETF)買いや企業の自社株買いで吸収した”といえる。従って、日本株が本格上昇に転じるためには、オイルマネーの生命線である原油価格動向がポイントとなってくる。米原油先物の代表油種であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の現状1バレル=50ドル台では、日本株の積極買いは想定し難い。1バレル=60ドル台に上昇すれば、資金的な余裕も出て、日本株回帰の動きも期待できそうだ。

 もうひとつ注目なのは、米国金利上昇とNYダウ平均株価の関係だ。それまで低下傾向にあった金利が上昇に転じて間がない期間は、利上げを嫌気して株価が下落する直接的な反応をみせるが、ある程度の期間を経て利上げペースがゆっくりの場合は、利上げの背景にある企業業績の好調ぶりを評価して株価が上昇するケースも多い。米国は、そろそろその段階に差し掛かっているのではないか。

 日経平均株価の当面の目標は、5月31日高値の1万7251円となっている。この水準を早めに上回って上昇に加速がつけば、年内1万8000円回復も十分可能となる。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。

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