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【特集】窪田朋一郎氏【決算本格化目前、秋相場のシナリオを読む】(1) <相場観特集>

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

―続く閑散相場、東京市場の風景はどう変わる―

 東京株式市場は、相変わらずの閑散商状ながら日経平均株価は底堅い動きをみせている。1万7000円台回復からの強調展開を期待したいのはヤマヤマなれども、企業の上期決算発表本格化を前に警戒感も拭い切れないのが現状だ。秋相場深まりゆくなかで東京市場の風景はどう変わっていくのか? 相場見通しに定評のあるマーケット関係者3氏にその読み筋を語ってもらった。

●「全般ボックス圏も、個別でプラント株など注目」

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

 当面の東京市場は日経平均1万6500~1万7000円のゾーンで膠着相場が続く公算が大きいとみている。これから3月決算企業の中間決算発表が本格化してくるが、これが全体相場の波動に新たな方向性を与えるとは思えず、円高を背景とした企業収益面での下方修正圧力は上値の重荷となりそうである。足もとは1ドル=104円台まで円安方向に押し戻されてきてはいるが、9月の日銀短観の2016年度の想定為替レートは1ドル=107円台であり、実勢は依然として円高によるデメリットが意識される。これを相場は完全に織り込んだとは言い切れない。

 ただし、下値では日銀のETF買いが入ることが予想されるだけに大きく値を崩すことも考えにくい。米大統領選はヒラリー・クリントン氏が優勢で、このまま大統領に選出されると仮定した場合、政治的圧力による円高懸念もある程度緩和される。依然として円高デメリットが意識されると述べたが、米連邦準備制度理事会(FRB)は12月に利上げに動く可能性が高く、日米金利差を考慮すれば1ドル=105円くらいを軸とするドル円相場が展開され、企業収益面でのダメージも限定的なものにとどまるだろう。

 日経平均を短期的ではなく年末までのタームで見た場合は、下値1万6000円から上値1万7500円のレンジでの推移をイメージしている。

 また、今後のポイントとして原油価格の動向に注目している。原油市況はサウジアラビアの国営石油会社であるサウジアラムコの上場が17年か18年にも実現するとの観測があるなか、サウジの減産合意も価格下落に歯止めをかけたいとの意思が働いた可能性がある。したがって原油市況は中期的にも底堅い動きが想定される。これを前提に、物色対象としては原油市況の上昇がポジティブ材料となる国際石油開発帝石 <1605> などをはじめとする資源開発関連や、千代田化工建設 <6366> 、日揮 <1963> などのプラント建設会社の株価に浮揚力が働くと考えている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウオッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。

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