【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:米決算本格化、中国7-9月GDP、ECB理事会
NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより
■株式相場見通し
予想レンジ:上限17100-下限16700円
来週は米国で決算発表が本格化するため、決算に対する市場の評価を見極めたいとの流れになりそうだ。米アルコアの決算をきっかけにNYダウは200ドルを超える下落をみせただけに、今後発表される決算に対する市場の関心は高いだろう。14日の米国企業決算では、米銀行最大手のJPモルガン・チェース、シティグループ、ウェルズ・ファーゴがいずれも減益ながら市場予想を上回っており、一先ず安心感につながりそうである。
先週の日経平均は不安定な値動きではあったが、25日線レベルでの底堅さが意識される格好となり、価格帯別出来高の膨らんでいる16600-16700円のレンジは上回っている。決算シーズンとなるため積極的な売買は手控えられ、もち合いレンジ突破は期待しづらいところではある。ただし、主力株の底堅い値動きからは、25日線を支持線にレンジ上限の17000円を窺う展開が意識されよう。
経済スケジュールでは、7-9月の中国の国内総生産(GDP)(19日)が発表される。先週は中国経済の回復力が試される中で、貿易統計の弱さが嫌気される場面もみられたこともあり、中国経済の減速懸念が重しになる可能性は警戒されるところ。なお、市場コンセンサスは3四半期連続で6.7%増と予想されているが、李克強首相は「7月から9月は予想よりいい」と述べたとの報道もあり、サプライズへの期待もありそうだ。
また、欧州中央銀行(ECB)理事会(20日)にも注目が集まろうが、量的緩和のテーパリングを協議している兆候が示されるといった観測もあったが、決定は買い入れ延長の是非とともに12月に持ち越されるとの見方がコンセンサスであり、市場反応は無風といったところか。
その他、米地区連銀経済報告(ベージュブック)(19日)が公表されるほか、9月の米中古住宅販売件数(20日)が予定されている。14日に発表された9月の米小売売上高は前月比0.6%増と、2ヶ月ぶりにプラスに転じた。12月利上げへの後押しとの見方が強まっているが、ベージュブックでさらに利上げを正当化する見方となるかが注目されよう。年内利上げ観測が高まるなか、為替相場はドル高・円安傾向に向かいやすく、これが国内株式市場の下支えにもなりそうだ。
なお、19日に米大統領選の候補者による第3回テレビ討論会がある。CNNの調査では民主党候補のヒラリー・クリントン氏が共和党候補のドナルド・トランプ氏を7ポイント上回っていることがわかった。相次ぐ女性問題でトランプ氏は窮地に陥っているが、ただ信用度を問う質問では両者の差が縮まったとも伝えられており、波乱要因になる。
■為替市場見通し
来週のドル・円はもみあいか。英国の欧州連合(EU)離脱に関する交渉や手続きを巡って、英国、欧州の実体経済に与える影響が懸念されており、投資家のドル選好地合いは続きそうだ。また、主要産油国による減産への期待で原油価格が持ち直していることもドル相場を下支えする一因となる。リスク回避的な円買いは抑制されており、米9月消費者物価指数(CPI)などの米経済指標が堅調なら、年内利上げ観測を背景としたドル買いは継続する見込み。
ただ、中国の9月貿易統計は低調だったことから、一部投資家は中国経済がリスク要因になるとして警戒している。19日発表の中国の7-9月期国内総生産(GDP)に対する市場の関心は高まっており、市場予想の前年比+6.7%を下回る伸びに終わった場合、リスク回避的な円買いが再び強まり、ドル・円は弱含む展開もあり得る。1-3月期、4-6月期の経済成長率はいずれも前年比+6.7%。7-9月期の成長率が予想を下回った場合、中国経済の減速懸念は一段と高まる可能性がある。
■来週の注目スケジュール
10月17日(月):日銀支店長会議、JR九州売出価格、米鉱工業生産指数など
10月18日(火):英消費者物価コア指数、米消費者物価コア指数、ゴールドマン決算など
10月19日(水):訪日外国人客数、中小売売上高、中7-9月GDP、ベージュブックなど
10月20日(木):コンビニ売上高、英小売売上高指数、ECB政策金利など
10月21日(金):日銀総裁講演、中新築住宅価格、ユーロ圏消費者信頼感速報値など
10月23日(日):衆院東京10区、福岡6区の補欠選挙など
《TM》
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