市場ニュース

戻る
 

【特集】コスモ・バイオ Research Memo(4):エクソソーム研究に必要な新規試薬の開発を積極推進

コスモバイオ <日足> 「株探」多機能チャートより

■コスモ・バイオ<3386>の事業内容と特徴・強み

取扱品目はタンパク質研究用試薬(モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体など)、遺伝子研究用試薬(制限酵素、核酸、遺伝子検出用試薬など)、組織培養研究用試薬(培地、培養システム・器具など)、その他バイオ研究用試薬(ペプチド、ウイルス、細菌など)、バイオ研究用機器(細胞・遺伝子操作機器、分離・精製機器、培養機器など)、臨床検査薬(血液・血清試薬、細菌検査試薬、病理・組織検査試薬など)と幅広い。

2013年7月吸収合併したプライマリーセルのメーカー機能(現プライマリーセル事業部)を持ち、自社ブランド製品を含めて業界最大級の約1,200万品を取り扱っている。ライフサイエンス研究は非常に広範囲であり、様々な分野で研究が行われている。さらに研究者一人ひとりが、それぞれ異なったテーマで研究を行っている。したがって多様なニーズに応えるためには、多種多様な試薬・技術情報・サービスが必要となる。圧倒的な品ぞろえで、抗体分野を中心に多種多様な製品・技術情報・サービスをワンストップで提供できることが強みだ。

自社ブランド製品の開発・販売も強化している。2016年3月、自社ブランド製品「涙液ムチン測定キット」の販売を開始した。ムチンは糖タンパク質の一種で涙、唾液、胃液、腸液などの粘液に多く含まれており、角膜、鼻・のどの粘膜をウイルスや細菌から保護するなど、バリア機能として働くことが知られている。特に涙液には角膜を保護する役割として膜型ムチンと分泌型ムチンが存在しており、これらのムチンの減少がドライアイの発症につながると考えられている。ムチン量の測定に当たって従来は高感度・再現性・簡便性に優れた製品がなかったため、簡単な操作で高感度にムチンを測定でき、かつ実験時間を短縮した「涙液ムチン測定キット」を開発した。国内だけでなく世界に向けて販売している。

2016年6月には、新たなビジネスモデルへの投資と位置付けている分野で、テーマ「鶏卵バイオリアクターを用いた組換えヒトサイトカイン試薬製造」が、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の2016年度「中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業」に採択された。

2016年7月には、塩野義製薬<4507>が所有するエクソソーム検出用モノクローナル抗体の特許権並びに関連する抗体製品の製造・販売権に関する特許権譲受契約を締結した。エクソソームは細胞から分泌された脂質二重膜で形成される直径40nm~150nm程度の小胞で、ヒトをはじめとする多くの生物では唾液、血液、尿、母乳等の体液中に存在している。そして近年、エクソソームの中に含まれているマイクロRNAが新たなバイオマーカーとして注目を浴びている。特許権を譲り受けた本抗体は簡便に高純度のエクソソームを単離することができ、エクソソーム研究に不可欠とされている。本抗体を自社製造することで、安定的な抗体の供給、エクソソーム研究に必要な新規試薬の開発を積極推進する。

在庫管理については売れ筋製品を中心におおむね1万点程度を在庫として持ち、その他の出荷頻度の小さい製品は受注状況に応じて仕入先から取り寄せている。また取扱品数が2015年12月期に1,200万品を突破しており、抗体百科カタログをWeb版で復活するなど、紙媒体の製品カタログからWebカタログや技術情報ハンドブックへのシフトを進め、管理コストやカタログ発行費用の抑制を図っている。さらに動画プロモーションの導入や、販売代理店向け専用Webサイト上での製品紹介の配信も開始して営業強化につなげている。

なお製品の中には薬事法、毒物及び劇物取締法など、関連法規や行政指導に該当するものが多く含まれている。また海外からの輸入品の場合には、関連法規や取扱基準・規制が日本と異なっていることが少なくない。このため製品の仕入~販売に関しては、国内外の関連法規・行政指導による取扱基準・規制に精通して対応することが必要になる。こうした対応力においても競合優位性を持っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)

《HN》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均