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【経済】中国LCCに追い風、吉祥航空や春秋航空の利益急増


中国のLCC(格安航空会社)が業績を急ピッチに伸ばしている。上海を本拠とする本土大手2社の上半期業績も好調。吉祥航空(603885/SH)は売上高が前年同期比23.66%増の47億5120万人民元、純利益が37.18%増の7億1020万人民元に達した。一方の春秋航空(601021/SH)は、営業収入が0.01%増の39億1000万人民元にとどまったものの、純利益が19.47%増の7億4000万人民元に拡大している。中国証券報が7日付で伝えた。
政府補助を得た以外、旅客数の増加も業績を支えている。上半期の輸送実績は、吉祥航空が27.56%増の延べ626万1300人。うち国際線は43.05%増の82万1800万人に上った。客席稼働率は86.09%とさらに改善。国内線87.01%、国際線82.99%で推移した。79%出資の九元航空は黒字転換し、345万1000人民元の純利益。2015年1月の商業運航以来、はじめて黒字を計上した。基盤とする広州で旅客を取り込んでいる。
春秋航空の輸送実績は、6.1%増の10億3600万トンキロ。4.2%増となる657万人の旅客を運んだ。客席稼働率は92.96%の高水準を維持。6月末時点の機体数は60機、機体年齢は平均3.4年となっている。
両社とも航空機は「A320」のみを導入。機体を統一することで保守コストの大幅削減を実現した。さらにファーストクラス、ビジネスクラスを撤廃。座席間隔の短いエコノミークラスだけに統一することで、輸送可能な乗客数を通常より15~20%も増やした。両社とも為替変動のリスクが低い。人民元レートが対米ドルで1%低下した場合、吉祥航空の利益は831万人民元減少する。大手よりも蝕まれる額が少ないという。一方、春秋航空は米ドル、日本円の為替変動を100%ヘッジした。為替レートの変動は、経営の中立要因となっている。春秋航空の着陸~離陸時間は圧倒的に短い。機体の統一などによるメンテナンス時間削減を通じ、最短25分に縮めた。
2003年にマレーシアのエアアジアがクアラルンプール~マカオに就航。LCCとして初めて中国進出を果たした。その後、シンガポールのジェットスター・アジア、タイガーエア、セブ・パシフィックも参入。吉祥航空、春秋航空のほか、中国勢の紅土航空、聯合航空、西部航空なども運航に乗り出した。
中国のLCC市場は伸び代が巨大。旅客輸送に占めるLCCの世界シェアは、03年の12.3%から15年には25.5%に拡大した。なかでもアジア地域は、3.4%から25.1%に急上昇した。しかしながら中国は足元でわずか6%に過ぎない。航空機を利用する移動が一部で日常化するなか、LCCを選ぶ比率は今後も高まっていく見込みだ。
中国政府もLCCの業容拡大を支援する立場。中国民航局は2014年に「低コスト航空事業を発展させるための指導意見」を発表した。ある研究機関によれば、中国のLCC市場規模は、23年時点で2000億人民元に拡大する見通し。アジアで最も重要なLCC市場に成長するという。
半面、中国3大航空会社の中間業績は低迷。最大手の中国南方航空は、売上高が1.4%増の541億1900万人民元、純利益が31億1800万人民元で推移した。中国国際航空(753/HK)は売上高が4.0%増の539億8404万人民元、純利益が前年同期比17.5%減の34億6824万人民元、中国東方航空(670/HK)は売上高が4.4%増の463億3500万人民元、純利益が9.3%減の32億3000万人民元に落ち込んだ。

【亜州IR】

《ZN》

 提供:フィスコ

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