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【経済】NYの視点:年内の米利上げ環境整いつつある=7月公定歩合議事録


米連邦準備制度理事会(FRB)は最新、7月の公定歩合会合の議事録を公表した。議事録では、全12地区連銀のうち8地区連銀が公定歩合を現行の1%から0.25%引き上げ1.25%にすることを支持したことが明らかになった。労働生産の低迷など、今後の成長見通しの懸念材料は多く、連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げに一段と慎重になる理由は存続する。しかし、一方で、テクニカル的に年内の利上げにむけた環境は整いつつあるように見える。

ダラス地区連銀、フィラデルフィア連銀は今回の会合であらたに公定歩合引き上げ支持に回った。前回の会合では、ボストン、クリーブランド、カンザスシティ、リッチモンド、サンフランシスコ、セントルイス連銀が利上げを支持した。議事録では、「経済活動が引き続き緩やかな成長を継続している」との地区連銀の見解が示された。いくつか地区連銀は消費が堅調であるほか、住宅セクターの改善を指摘。しかも、利上げを支持した4つの地区連銀の総裁は2016年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有している。

一方、NY、ミネアポリス、シカゴ、アトランタ連銀は、経済の見通しが依然不透明であること、インフレが依然目標以下であることから公定歩合の据え置きを支持。しかし、NY連銀のダドリー総裁は最新のインタビューで9月の利上げの可能性を示唆したほか、FF先物市場での利上げ織り込み率が不十分であることに言及している。このため、次回の公定歩合会合でNY連銀も利上げ支持に回る可能性もあり、年内の利上げに向けた環境が整うことになる。

連邦公開市場委員会(FOMC)が行動を決定するには、市場が70%以上FOMCの行動を織り込み、さらに、公定歩合会合でも、大半の地区連銀が公定歩合における調整を支持する必要があるようだ。実際、連邦公開市場委員会(FOMC)が10年ぶりの利上げに踏み切った昨年12月直前の10月の公定歩合議事録では12地区中、9地区連銀が利上げを主張していた。金利先物市場が12月の利上げを70%近く織り込めば、年内の利上げの環境が一段と整う。

《NO》

 提供:フィスコ

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