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【特集】<話題の焦点>=2020年東京五輪に向け成長期待高まるディスプレー業界

乃村工芸社 <日足> 「株探」多機能チャートより
 リオデジャネイロ五輪が佳境を迎えている。日本選手の期待を上回る活躍もあり、4年後の2020年東京五輪への関心が一段と盛り上がりをみせている。このオリンピック・パラリンピック開催に向けて、ビジネスチャンスの拡大が予想されるのがディスプレー業界だ。

 ディスプレー業界は、“集客”をテーマとして各種施設やさまざまなイベントでの内装、展示のデザイン・設計・制作・施工を行うビジネス。経済成長に伴う持続的な拡大に加え、訪日外国人客の増加も、商業施設を中心としたイベントの開催やディスプレーの更新需要にとって追い風となっている。ここに東京五輪開催に向けた需要が上乗せされることになる。

 ディスプレー業界最大手の乃村工芸社<9716>の調べによると、2014年の同業界の市場規模は1兆3200億円に達しており、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、堅調に推移すると予想している。

 同社が7月7日に発表した17年2月期の第1四半期(3~5月)連結決算は、売上高295億3700万円(前年同期比0.1%減)、営業利益23億8700万円(同7.0%増)、最終利益は15億2600万円(同16.9%増)と増益基調を確保した。複合商業施設市場や、ホテルのリニューアルなどの余暇施設市場は増加し、採算を重視した受注の徹底や、原価低減への取り組みが増益に寄与している。中期的には、訪日観光客向けのアンテナショップや、全国展開のアパレルや書店の新規出店や改装の需要増が見込まれる。

 丹青社<9743>の17年1月期の第1四半期(2~4月)連結営業利益は、22億9400万円(前年同期比3.1%減)と営業減益だったものの、通期の営業利益34億円(同5.6%増)は据え置いている。18年1月期を最終年とする中期経営計画では、(1)連結ROE10%、(2)配当性向40%、(3)営業利益38億円を目指し、その後も安定的に営業利益30億円以上を計上できる企業体質――を掲げている。

 スペース<9622>は8日に、16年12月期第2四半期累計(1~6月)単独決算の発表にともなって通期の経常利益を従来予想の36億円から35億円(前期比1.3%減)に下方修正した。熊本地震の影響により物件の延期や中止、さらに主要顧客の新規出店・改装などの見直しが要因となった。ただ、一方で複合商業施設・総合スーパー分野では、複合商業施設の新装および改装により、受注は堅調に推移している。また、15年末に東京本社ビル増築が完了し、人材の積極採用や既存社員の登用などにより東京五輪市場開拓への攻勢が期待される。

 このほか、企業や団体のイベント展示、販促を支援し、ショールームはじめ常設空間分野でも強みを発揮する博展<2173>や、商業・オフィスビルなどの施設管理業務でトップを占めるイオンディライト<9787>にもビジネスチャンスが到来しそうだ。

出所:株式経済新聞(株式会社みんかぶ)

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