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【特集】大谷正之氏【夏相場終盤、1万7000円復帰はいつ?】(3) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 東京株式市場は薄商いのなかで、日経平均株価は1万7000円大台回復を目前に瀬踏みしている状況にある。悲観がはびこるような地合いではないが、楽観に偏っている気配もなく、足もとの相場は企業の決算発表通過で方向性を見極めかねているというのが実情だ。実績豊富で相場の機微に通じた市場関係者諸氏のプロの視点を紹介する。

●「好調な設備投資を背景に機械セクターに注目」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 15日の東京株式市場は、お盆休み中で市場参加者が限られ、東証1部の売買代金は1兆5701億円の低水準となった。さらに、外国為替市場で1ドル=101円台前半と円高・ドル安が進行したにもかかわらず、日経平均は前週末比小幅安と比較的堅調な推移となった。これは、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れ思惑が下値を支える効果を発揮しているためだ。

 ただ、過去の株価推移から判断すると1万7000円台前半の価格帯では戻り売りが想定される。4-6月期の決算発表が終了したことで、企業業績に関連したリスクに伴う売り要因は解消されているものの、逆にこの水準から買い上がる材料にも乏しいというのが現状だ。今後は、9月の日銀金融政策決定会合や、秋の臨時国会での景気対策の具体化に期待が寄せられる。

 秋相場での日経平均の上値は、4月25日高値の1万7613円が目標となる。一方、下値は1万6300円程度と判断しているが、場合によっては1万6000円近辺まで下落する可能性もある。中国経済の先行きや英国の欧州連合(EU)離脱の影響など、不透明な外部要因には注意が必要だ。

 発表が終了した4-6月期決算の内容と、現状の株価水準を考え合わせると、輸出関連銘柄の割安さに比べ、総じて内需株の割高さが目立つとの印象を受けている。注目したいセクターは、好調な推移が予想される設備投資関連の機械株だ。中国での工作機械向けのCNCシステムの需要の増加が見込めるファナック <6954> や、中国でスマートフォンや自動車向けのサーボモーター需要が再び活気づいている安川電機 <6506> が挙げられる。

 さらに個別銘柄では、リチウムイオン2次電池材料の採算改善が評価される関東電化工業 <4047> や、計測機器事業で医薬・鉄鋼・食品などの分野向けで、液体クロマトグラフや質量分析計、表面分析装置などが好調に推移している島津製作所 <7701> に注目。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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