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【特集】田部井美彦氏【検証! 8-9月相場シナリオ】(3) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 週明け8日の東京株式市場は日経平均株価が400円近い上昇を演じ、一気に1万6000円台後半に浮上している。米雇用統計が市場予測を大きく上回ったことがリスク選好ムードを後押ししているが、一方では企業の四半期決算を受けた個別株物色の流れも健在だ。決算発表がヤマを越え、改めて全体相場を俯瞰して見えてくるものは何か。第一線で活躍する市場関係者が描く8~9月の相場シナリオにスポットを当てる。

●「設備投資関連の機械セクターに注目」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 前週末5日に発表された米7月雇用統計で、非農業部門の雇用者数の伸びが市場予想を大幅に上回った。これを受けて、米景気の先行きに対して楽観論が浮上、米株式市場ではNYダウ平均株価が大幅上昇。さらに、年内に利上げ環境が整うとの受け止めも広がり、外国為替市場では円安・ドル高が進行した。この米国株市場堅調や、日銀による上場投資信託(ETF)の買い入れ額拡大による下支えが安心感となって、出遅れ銘柄の押し目買いによる上昇が続いている。ただ、大きく買い上がる材料には乏しく、8月中は日経平均の上限1万7000円とした推移となりそうだ。

 米国経済の堅調さが確認されるなかで、外国為替市場での円相場も、ここから大きく円高方向に進み難くなっている。したがって、4-6月期決算を発表した輸出関連企業の業績見通しを見ても、これ以上下方修正される懸念が薄らいでいる。今後、株価面で注目したいセクターとして“機械”を挙げたい。国内外を問わず生産性の向上などに伴う設備投資の需要は継続的に拡大するものと予想される。

 例えば、製造業・流通業にわたる多彩な保管・搬送システムで世界トップクラスにあるダイフク <6383> は、半導体・液晶生産ラインをはじめ、自動車生産ライン、空港向け手荷物搬送など幅広い分野での成長が見込める。また、産業用スチールチェーン、自動車エンジン用チェーンで世界トップの椿本チエイン <6371> は、多様な更新・メンテナンス需要なども含めて米国での動力伝動用チェーンが好調に推移し、PERも割安水準にある。さらに、工作機械などに組み込まれる直動案内機器で世界シェア50%を超えているTHK <6481> は、スマートフォンの加工に使う小型工作機械に搭載する直動システムの販売が再び拡大基調となってきた。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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