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2016年08月08日19時00分

【特集】馬渕治好氏【検証! 8-9月相場シナリオ】(1) <相場観特集>

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

 週明け8日の東京株式市場は日経平均株価が400円近い上昇を演じ、一気に1万6000円台後半に浮上している。米雇用統計が市場予測を大きく上回ったことがリスク選好ムードを後押ししているが、一方では企業の四半期決算を受けた個別株物色の流れも健在だ。決算発表がヤマを越え、改めて全体相場を俯瞰して見えてくるものは何か。第一線で活躍する市場関係者が描く8~9月の相場シナリオにスポットを当てる。

●「9月まで追い風環境続き上値指向に」

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

 前週末(5日)までの段階で全体の約66%の企業が4-6月期決算を開示し、合計すると経常利益で約2割減益という状況となっている。あと3分の1程度の企業が未発表だが、アナリスト予想を加えたところでは、やはりほぼ同レベルの減益となる公算が大きい。これまでの決算発表を総括すると、外需企業に共通するのが円高の影響と中国を筆頭とする新興国経済の減速、また内需企業では前年同期のインバウンド需要の反動が色濃く映し出される結果となっている。

 ただし、東京株式市場は足もとの冴えない業績を事前に織り込んでおり、決算発表を受けて個別銘柄こそ明暗が分かれているものの、全体観としてガイダンスリスクは売り圧力にあまり反映されていない。

 相場の方向性は外需株優位が鮮明だった。トヨタ自動車 <7203> や安川電機 <6506> 、ミネベア <6479> などの低調な決算がアク抜け感から株価上昇につながったことは、今回の四半期決算の特徴を如実に表すよい事例であろう。逆に、これまでモメンタム重視で株価指標面から割高に買われていた内需系銘柄には、決算発表を機に売りに押されるものが目立った。4-6月期営業3割増益を達成した明治ホールディングス <2269> などの下げは、その典型といえる。

 注目を集めた7月の米雇用統計は市場コンセンサスを大幅に上回る雇用者数の増加を示し、米経済の強さが改めて確認された。年内の利上げが有力視されるなか、9月実施の可能性は五分五分とみている。仮にここで見送られても大統領選後の12月にはFRBは利上げに動くだろう。

 一方、日銀はFOMCと同じ9月20~21日に金融政策決定会合を開催するが、追加緩和のカードを切る可能性が高そうだ。これがもし米利上げとセットであれば、いうまでもなく為替相場では円安が一気に進み、日経平均も大幅高に向かう。その際は9月中に1万8000円台後半まで上昇する可能性がある。また、日銀の緩和が実施されれば、米利上げ見送りのケースでも日経平均の上値追い基調に変化はなく、1万8000円台乗せは十分に可能とみている。ただし、9月までは追い風環境が続くものの、10~11月の相場については注意を要する。米大統領選が大詰めを迎え、クリントン、トランプ両氏ともドル高を牽制する構えを強めるため、政治的背景から円安は見込みにくく、株式市場でも上値が重くなるだろう。

 個別の物色対象としてはJPX日経400採用の主力株に優位性があると考えている。トヨタ以外ではスズキ <7269> やコマツ <6301> などに注目。また、このほかではJPX日経400に新規採用された竹内製作所 <6432> なども上値指向を強めそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(まぶち・はるよし)
1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程終了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は多数。最新の書籍は「勝率9割の投資セオリーは存在するか」(東洋経済新報社)。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。


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