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【特集】小川英幸氏【検証! 8-9月相場シナリオ】(2) <相場観特集>

小川英幸氏(光世証券 本店コンサルティンググループ 課長代理)

 週明け8日の東京株式市場は日経平均株価が400円近い上昇を演じ、一気に1万6000円台後半に浮上している。米雇用統計が市場予測を大きく上回ったことがリスク選好ムードを後押ししているが、一方では企業の四半期決算を受けた個別株物色の流れも健在だ。決算発表がヤマを越え、改めて全体相場を俯瞰して見えてくるものは何か。第一線で活躍する市場関係者が描く8~9月の相場シナリオにスポットを当てる。

●「地銀への投資は将来の優れた収益源」

小川英幸氏(光世証券 本店コンサルティンググループ 課長代理)

 日本企業の決算発表は全体的にみると、下方修正は多いものの、円高進行の割に悪くない印象だ。トヨタ自動車 <7203> が下方修正を発表したが、翌日の株価は上昇した。日銀のETFの買い入れ額の倍増もあり、買うきっかけを待っている人たちが、買いを入れざるを得ない動きとなっているような印象を受ける。

 マクロ指標では、米国の雇用統計の値も良好となっており、多くの投資家が思っているように悪くない。英国のEU離脱の決定で、欧州経済のダウンサイドリスクという大きな懸念材料はあるが、G20の共同声明に「世界経済の成長を支えるために金融、財政、構造改革の政策を各国が個別に総動員する」とあった。EUで財政政策が実行されるのであれば、市場にとっては驚きとなり、明るい景気見通しが株価に織り込まれるのではないか。そのため、EUの財政政策の行方には注目している。

 注目セクターとしては 地銀を挙げたい。日銀のマイナス金利導入により、国債の購入による収益が見込めなくなり、マイナス金利導入以前よりも一段とバリュエーションは低くなった。地銀は新たなことを始められないというようなコンセンサスから、そのような動きとなっているのだろう。しかし、最近の報道を見ていると、ふくおかフィナンシャルグループ <8354> 傘下の福岡銀行と静岡銀行 <8355> のグループ会社が旅行予約サイトの買収に動くなど、変化の胎動がみられる。動きを見せ始めた地銀への投資は将来の優れた収益源となるかもしれない。

(聞き手・加藤智)

<プロフィール>(おがわ・ひでゆき)
1977年滋賀県生まれ、2000年滋賀大学経済学部卒。光世証券入社後、先物オプションや現物の自己売買部門を経て、2015年12月からコンサルティンググループに所属。


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