【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 8月相場は閑古鳥が鳴くか
株式評論家 植木靖男
「8月相場は閑古鳥が鳴くか」
●日銀緩和に、大山鳴動して…
昨今の株式市場は、まさに政治政策相場といっても過言ではない。
世界的には、英国のEU離脱を巡っての国民投票、そして米国FOMCの利上げを巡っての議論、そして月末は国内で日銀の金融政策決定会合、欧州の銀行監督局の銀行のストレステストなど。
いずれも、その結果を固唾を飲んで迎えた。政治政策が動かなければ相場が動かないという行き詰まった状況を象徴しているかにみえる。
こうした政治政策相場は年内いっぱい続く公算が大きい。
なんといっても米大統領選が大一番といえようか。これまでの自由主義、資本主義の根幹を揺るがしかねない一大イベントだ。
しかし、こうした地殻変動の話はさておき、目先的には、やはり市場が注目したのは日銀の金融政策決定会合だ。
政府・日銀が連携しての経済対策の一環とすれば、日銀がまったく動かないという選択肢はないとみられた。市場の大半が期待している。なければ、失望売りとなる。
では、動くとしてなにをするのか。巷では、50年国債とかヘリコプターマネーとか、現状ではとても受け入れられない策へ期待を示す向きもあった。余談になるが、こうした噂を誰が流すのか気になるところだ。
ともあれ、結果は想定内であり、これを受けて日経平均株価は日中の変動幅こそ504円と荒れたが、終値は前日比92円高と反発。
大山鳴動してなんとやら。株価の反応は拍子抜けといった格好だ。
●米国株の落とし穴に注意
では、8月相場はどう展開するであろうか。
政治政策相場とみれば、8月はなんとも静かな時期に入る。首都圏では梅雨も明け、本格的な夏休みに入る。
強いてあげれば、8月26日のイエレンFRB議長の講演ぐらいのもの。
夏休みを理由に、閑古鳥が鳴く閑散相場となる可能性が大きい。
いうまでもなく閑散相場では売り買いが減少するが、見切り売りが増えることでやや軟調な展開となりそうだ。もっとも下値は乏しく、1万5000円を割るような下落はないだろう。
下げなければ騰がるのが相場。すでに本年2月安値から半年が経過している。底値鍛錬の中にあるといえよう。
ただ、気になるのはもっとも安心感があるとされる米国株価だ。落とし穴はないか、株価は高値圏にあるだけに、ちょっとした不安材料でも反応しやすい。注意したい。
2016年7月29日 記
株探ニュース