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2016年07月11日17時25分

【特集】アドバネクス Research Memo(10):プラスチック事業を切り離し、大幅減収・減益

アドバネクス <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

●2016年3月期業績

(1)連結損益計算書??プラスチック事業除外ベースでは微増収、微営業減益

アドバネクス<5998>の2016年3月期の業績は、プラスチック事業を戦略的に切り離したことから、売上高は前期比35.3%減の19,073百万円、営業利益が同38.2%減の668百万円となった。プラスチック事業除外ベースでは、売上高が前期比3.4%増の19,073百万円、営業利益が同4.3%減となった。期初予想比では、売上高が3.7%減、営業利益が24.1%減であった。上半期は期初予想どおりの展開であったが、下半期に入ると内需、特にOA機器向けが後退して業績の足を引っ張った。日本での埼玉工場の新設や期初から編入した船橋電子の固定費・経費増加を吸収できなかった。前期に特別損失として繰入れた災害損失引当金(105百万円)が、今期は戻入れされ特別利益として103百万円が計上された。当期純利益は、前期比82.4%増の587百万円となった。

(2)地域別売上高と営業利益

事業が精密ばねの単一となったことから、事業別セグメント情報の開示がなくなったが、地域別収益はディスクローズされている。日本は、売上高が7,539百万円と前期比(プラスチック事業除外ベース、以下同様)で5.8%減少した。日本の売上高構成比は前期比3.9ポイント減の39.5%へ低下した。自動車向けは好調に推移したものの、OA機器向けが減少した。プロダクトミックスの悪化と船橋電子の従業員を吸収したことによる固定費の増加により営業損失は295百万円拡大し、401百万円となった。2016年1月の埼玉工場の稼働に向け、先行費用が発生した。

米州と欧州は、もともとプラスチック事業を行っていなかったため、精密ばね事業の比較になる。米州の売上高は前期比17.3%増の2,108百万円、営業利益は同9.2%増の28百万円となった。自動車向けが好調な上、スプリンクラー関連を含むインフラ向けが伸びた。ただし、2016年4月のメキシコ・ケレタロ工場の操業開始にかかる立ち上げ費用が発生した。欧州は、売上高が同11.0%増の2,286百万円、営業利益が同14.5%増の350百万円と好調だった。売上高営業利益率は15.3%と全体の3.5%の4.4倍の高水準となった。高収益の医療向けに加え、航空機向けが増加した。アジアの売上高は同8.3%増の7,138百万円、営業利益が同50.7%増の700百万円であった。自動車向け及びスマホ向けが増加した。

市場別売上構成比(プラスチック事業除外ベース)は、自動車が前年同期比4.2ポイント増の36.6%となり、同6.6ポイント減の21.9%へ低下したOA機器との差を拡大した。前期比伸び率は、自動車が17.0%増、医療機器が22.9%増、精密機器が20.3%増、住設機器が19.9%増、航空機器が60.9%増であった、航空機器の売上構成比は3.3%とまだ小さいものの、高成長しているため、その他から分けて表示された。一方、減収となった方は、OA機器が20.3%減、PC・周辺機器が10.2%減、AV・家電が26.7%減、携帯情報端末が26.3%減であった。同社が、成長分野としてターゲットとし注力している市場向けの売上高は伸びたが、かつての主力事業などの落ち込みが想定以上に大きかった。

(3)連結貸借対照表

2015年3月期末の貸借対照表に同社子会社の第一化成ホールディングス(株)の売却に伴う変動が既に反映されていたため、2016年3月期はプラスチック事業除外ベースでの比較になる。総資産は17,024百万円と前期比469百万円増加した。流動資産が同347百万円減少したが、主に受取手形及び売掛金、棚卸資産の減少による。有形固定資産は、主に埼玉工場の設立により657百万円増加し、無形固定資産及び投資その他の資産も増加した。負債合計は924百万円増加した。

(4)キャッシュ・フローの状況

2016年3月期の現金及び現金同等物の期末残高は2,669百万円と前期末比737百万円減少した。営業活動によるキャッシュ・フローは、利益と減価償却などにより1,415百万円プラスとなった。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1,854百万円などにより2,823百万円のマイナスとなった。財務活動によるキャッシュ・フローは、設備投資資金を借入金で賄ったこともあり910百万円の収入となった。自己株式取得の支出が101百万円あった。

●2017年3月期予想
売上が横ばいも2割営業増益を予想
2017年3月期は、売上高19,200百万円(前期比0.7%増)、営業利益800百万円(同19.7%増)、経常利益が800百万円(同19.1%増)、当期純利益が600百万円(同2.2%増)を予想、為替の前提は前期の1ドル120円から110円に変更している。第2四半期累計では、売上高が9,400百万円、営業利益が330百万円と前年同期比でそれぞれ5.3%減、10.0%減の減収減益予想となっている。今上半期は、前下半期に落ち込んだOA機器向けの回復を見込んでいない。為替の前提は前期の1ドル120円から110円に変更している。自動車向け金型が今期に入って最初の1ヶ月半で1年分の受注に成功しており、それが売上に立ってくる下半期の業績を押し上げると見込んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《HN》

 提供:フィスコ

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