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【特集】アジアの美白“自分買い”、化粧品業界「成長加速」のワケ <株探トップ特集>

資生堂 <日足> 「株探」多機能チャートより

インバウンド需要失速も化粧品は“爆買い”継続中―

 化粧品業界の成長が加速している。経済通産省の生産動態統計によると、2015年の化粧品販売額は約1兆5000億円と3年連続で増加。安倍政権の女性の活躍支援など政策効果による購買力向上に加え、販売チャネルごとに細分化したマーケティングなどが背景に挙げられる。

 さらに、インバウンド需要も底堅い。日本百貨店協会が発表した5月の免税店総売上高は前年同月比16.6%減の約135億円と前月に続いて前年実績を下回ったが、化粧品や食料品などの消耗品売上高は同44.7%増の約41億円と好調を維持。昨年の「爆買い」の反動や購買品目の変化を受けて免税品全体では伸び率が鈍化するなかで、化粧品は消耗品であるため購入頻度が高いことに加え、カウンセリングサービスなどが根強い人気となり着実に成長を続けている。国内外で好調な化粧品業界の成長は今後も見逃せない。

●インバウンドは“爆買い”から“自分買い”へ

 日本を含めアジア圏の女性は色白や素肌美でいることがステータスとなっており、スキンケア商品がよく売れているが、購入する商品の幅は少しずつ広がってきているという。美白化粧品大手のポーラ・オルビスホールディングス <4927> は、「当社は2015年2月に発売した美容サプリメント“ホワイトショット インナーロック”がインバウンド需要で火が付いた。その後も12月に発売した高級ブランド“B.A”も人気。現在は、他のブランドや健康食品なども売れており、商品の裾野が広がっている」(IR担当)としている。

 実際に化粧品を販売する百貨店でも変化の声がある。「百貨店売り上げでも化粧品は好調。やはり、時間をかけたカウンセリング販売は今も好まれている。以前は家族や親せきへのお土産で美容液を5個、10個購入する方が多かったが、最近は自分用にフルラインの化粧品を買っていく人が増えた。購入する化粧品の内容が日本のOLとあまり変わらない」とJ.フロント リテイリング <3086> の広報担当は話す。このような流れから、百貨店に販売店を展開する資生堂 <4911> 、コーセー <4922> 、花王 <4452> はこれからも期待できそうだ。

●異業種進出、高機能化粧品に商機あり

 順調に市場規模を拡大している化粧品業界だが、これまでの技術をもとにした異業種からの参入が増えており、競争がし烈になっている。調味料大手の味の素 <2802> が、アミノ酸を使ったエイジングケア美容液を8月下旬に発売する。一般用医薬品目薬でシェア世界トップのロート製薬 <4527> は素肌に近い仕上がりになる「SUGAO(スガオ)」ブランドが10~20歳代女性の心をつかんでいるほか、「肌研(ハダラボ)」シリーズは国内外問わず高評価。また、多角化を積極的に推進する富士フイルムホールディングス <4901> は肌のハリや弾力を保つための独自成分を新たに開発、今秋以降、同社の化粧品ブランド「アスタリフト」の新製品に配合する。

●原料・素材など周辺企業にも恩恵期待

 化粧品業界の周辺企業にも注目。樟脳・脂肪酸誘導体で高シェアを占める日本精化 <4362> は、化粧品原料の需要が増加しているほか、容器では、プラスチック製包装容器専業の竹本容器 <4248> [東証2]や、香料大手の長谷川香料 <4958> の業績拡大に期待が高まる。また、OEM専門で化粧品を製造する日本色材工業研究所 <4920> [JQ]は、医薬品メーカーなど異業種からの受託増も見込める。

 さらに、リクルートホールディングス <6098> の子会社リクルートライフスタイルが運営するショッピングモール「ポンパレモール」は、モール内にある化粧品などを中国インターネット通販首位のアリババ集団に出品予定。今後は、海外売り上げ増を目指す。


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