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【特集】ホームドア一体型や災害対応、「デジタルサイネージ」最新事情 <株探トップ特集>

垂れ幕もこれからはデジタルサイネージに――アビックスのグラスビジョン(イオンタウンユーカリが丘)

―2020年東京五輪へ向けさらなる普及に期待―

 ディスプレーなどの電子的な表示機器を使って情報を発信する「デジタルサイネージ」があらゆる場所で普及加速している。これまでは映像による電子看板との意味合いから街頭の大型ビジョンやショッピングモールなどで電子広告として利用されていたが、最近では広告利用にとどまらずさまざまなコンテンツの配信ツールとしての利用も進んでいる。2020年の東京五輪へ向けて都市整備が進むなかでデジタルサイネージのさらなる普及が期待される。

●ワンストップで手掛ける三菱電

 近年、インターネットによるデジタル広告が存在感を高めるなか、街頭などで多くの消費者に直接訴求することができるデジタルサイネージも広告として重要度が高まっている。このデジタルサイネージで豊富な実績を誇るのが三菱電機 <6503> 。同社は大規模公共向けや鉄道向け、中規模向けを含めて導入に関するコンサルティングからシステム構築(ディスプレー、システムの提供)やコンテンツの企画・制作、運用管理、保守・監視までワンストップで手掛けている。

●東急はデジタルサイネージ一体型ホームドアの実証実験開始

 鉄道向けでは三菱電機が東京急行電鉄 <9005> や日本信号 <6741> 、旭硝子 <5201> と共同でデジタルサイネージ一体型のマルチメディアホームドアを開発し、6月27日から東急東横線武蔵小杉駅で、7月以降大井町線溝の口駅で実証実験を開始している。このホームドアは、旭硝子が開発したガラス一体型デジタルサイネージ「infoverre(インフォベール)」を三菱電機と日本信号が制作するホームドアの戸袋部分に設置し、東急電鉄がコンテンツ配信の仕組みと運用モデルを構築するもの。

 今回の実証実験では、鉄道業界では最大規模となる55インチサイズのデジタルサイネージを組み込んだホームドアを設置しており、デジタルデバイスを組み合わせたホーム上での新たな情報発信の本格実用化を目指し「20年を目標に東横線・田園都市線・大井町線の全64駅へのホームドア設置を計画」(東急広報部)している。

●パナソニックは「光IDソリューション」でスマホとのアクセスを実現

 パナソニック <6752> は交通機関向けではマルチスクリーン対応液晶ディスプレーなど最先端の映像装置を展開するとともに可視光を使ったスマートフォンへのデータ通信技術「光IDソリューション」を組み合わせたデジタルサイネージの提案を行っている。光IDソリューションは対象のLED光源にスマートフォンをかざすだけで関連情報にアクセスでき、クーポンの取得などがスマートに行える技術。この技術を採用した新製品「光ID送信機能内蔵液晶ディスプレイ」や、看板用デバイスなどを提案しており、単なる表示に留まらないデジタルサイネージの新たな可能性を提案している。

●災害対応に活用する大日本印刷

 一方、デジタルサイネージを災害対応に活用しているのが大日本印刷 <7912> 。同社では太陽光発電や風力発電、蓄電池を組み合わせた自然エネルギーシステム搭載の省エネルギー型デジタルサイネージを4月1日から発売。災害時の緊急情報の発信や安否確認などが可能で、防犯カメラを搭載しており安全な街づくりを目指した防災・防犯対応のデジタルサイネージとしても普及が期待される。

●アビックスは薄型・軽量の透明LEDビジョンを投入

 商業用映像看板を展開するアビックス <7836> [JQ]は環境光を遮らない薄型・軽量の透明LEDビジョン「GLASS VISION」(グラスビジョン)」を今年3月から発売。店舗や商業施設におけるウインドーをプロモーションエリアにすることが可能で、6月10日にグランドオープンしたイオンタウンユーカリが丘の吹き抜け部分、1階から3階のエリアに設置。全フロアに一体感を持たせる演出を行うと共に、映しだされるイベント情報などをリアルタイムに確認できるようになっている。

 またデジタルサイネージへのコンテンツ配信で力を入れるのが電通 <4324> 。同社は海外本社「電通イージス・ネットワーク」を通じて、英国のデジタルOOH(屋外・交通広告)専門の広告会社「ライブポスター社」を今年5月に子会社化している。ライブポスター社は、協力関係にある各国のデジタルサイネージ関連企業やそのネットワークを通して、世界中のサイネージに向けてリアルタイムでコンテンツ配信を行っている。今回のM&Aで、デジタルサイネージによる広告分野での世界戦略が加速しそうだ。


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